月曜日に一瞬「あ、底打ちかも」と思わせておいて、週末にはダウが調整局面入り。
「昨日の正解が今日には通用しない」——そんな展開が毎日繰り返された一週間でした。
今週の相場を一言で言えば、
「中東リスクが日替わりで相場を振り回した、くたびれる一週間」です。
トランプ大統領が対イラン攻撃の延期を表明→原油急落→株急反発、翌日に停戦交渉の難航が伝わる→原油反発→株急落…このサイクルが月曜から金曜まで何度も繰り返されました。
それでも相場の中身を丁寧に見ると、「どこが売られて、どこが売られなかったか」という資金の動きが見えてきます。
上下する指数の向こうに、来週の地合いを読むヒントが隠れていました。
この記事でわかること
- 今週なぜ「中東情勢→原油→株」の連鎖が毎日繰り返されたのか
- ダウ調整局面入り・ナスダック半年ぶり安値の意味
- 全面安の中でも資金が残っていたセクターはどこか
- 会社員投資家が来週に向けて押さえるべき3つのこと
今週の相場をひと言で言うと
「ニュースの見出し1本で相場が100〜200ドル動いた一週間」でした。
月曜の急反発、火曜の急落、水曜の反発、木曜の急落、金曜の続落——この動きを支配したロジックはひとつです。
地政学リスク → 原油高 → インフレ懸念 → 金利上昇 → ハイテク安
この連鎖が週を通じて何度も繰り返されました。
「上がる理由」を追うよりも、「なぜ下がったのか」の連鎖を把握しておくことが、今週の相場を読む最大のポイントです。
なお、先週(3/16〜3/20)の動きを把握しておくと今週の流れがより理解しやすくなります。
「戻れるのに戻り切れない」という同じテーマが3週間続いていることが見えてきます。
→ 【FOMC通過後に急転直下】上げた分を全部返した一週間。資金の二極化が鮮明に(2026/3/16〜3/20)
FOMC通過後に日経平均が急落。水曜+1,539円→木曜-1,866円の全戻し。インフレ懸念と利下げ後退が重し。全面安で…
今週の主な動き
日経平均の週次推移
| 日付 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 3/23(月) | 51,515円 | −1,857円 |
| 3/24(火) | 52,252円 | +736円 |
| 3/25(水) | 53,749円 | +1,497円 |
| 3/26(木) | 53,603円 | −145円 |
| 3/27(金) | 53,373円 | −230円 |
月曜の全面安(33業種すべて下落)が今週最大の衝撃でした。
水曜の1,497円高は配当取り需要と中東緊張の一時緩和が重なった形でしたが、週後半は再び失速しています。
米国市場
| 日付 | NYダウ | NASDAQ | S&P500 | 10年債利回り |
|---|---|---|---|---|
| 3/23 | 46,208 | 21,946 | 6,581 | 4.30% |
| 3/24 | 46,124 | 21,761 | 6,556 | 4.35% |
| 3/25 | 46,429 | 21,929 | 6,591 | 4.33% |
| 3/26 | 45,960 | 21,408 | 6,477 | 4.41% |
| 3/27 | 45,166 | 20,948 | 6,368 | 4.45% |
週末時点でダウが調整局面入り(直近高値から10%超の下落)、ナスダックが昨年9月以来半年ぶりの安値を更新しました。
為替・金利
ドル円は週を通じて158円台後半から160円台へ上昇。
週末には160円の大台を試す場面もあり、財務省・日銀の介入警戒感が最高潮になりました。
米10年債利回りは週を通じて上昇し、金曜には4.45%前後に。
「原油高→インフレ懸念→金利上昇→ハイテク安」の連鎖が特に週後半に鮮明でした。
個人投資家が今週押さえるべき3つのこと
① 中東情勢が「日替わり」で相場を動かした構造を理解する
今週の相場を動かした最大の要因は、中東情勢の緊張と緩和の繰り返しです。
3/23(月)にトランプ大統領が「対イラン攻撃を5日間延期する」と表明。
これで原油が急落し、株は大幅反発しました。
しかし翌24日には停戦交渉の難航が伝わり、再び原油高・株安に。
25日に停戦観測が再浮上して一旦反発、26日にはイランが米国の和平案(15項目)を拒絶したとの報道で急落——という流れが1週間で繰り返されました。
ポイントは、このロジックが毎回同じだということです。
「地政学リスク拡大 → 原油高 → インフレ懸念 → 長期金利上昇 → ハイテク安」
この連鎖を頭に入れておくと、ニュースが出たときに「次は何が起きるか」が少し読みやすくなります。
「なぜ今日下がったのか」がわかると、「来週どうなりそうか」も見通しやすくなるからです。
② ダウ調整局面入り・ナスダック半年ぶり安値は「ノイズ」か「転換点」か
週末時点でダウが直近高値から10%超の下落(調整局面入り)、ナスダックが昨年9月以来半年ぶりの安値を更新しました。
これを「短期のノイズ」と片づけるのは、もう難しい水準になってきています。
エヌビディアを含む大型ハイテク銘柄は週後半に大幅な調整を余儀なくされ、S&P500の11業種のうち上昇したのはエネルギーセクターのみという局面もありました。
一方で、インデックス投資家にとって重要なのは「この下げが積立を止める理由になるか」という問いです。
答えは「ならない」というのが僕のスタンスです。
2018年から積立を続けてきた経験上、こうした調整局面は定期的に訪れますし、その都度ルールを変えていたら長期投資は成り立ちません。
こういった急落局面で積立を続けるべきか迷ったときは、以下の記事も参考にしてください。
→ 地政学リスクで相場が急落…積立投資はどうする?会社員投資家が実践する3つの対処法
イラン情勢で日経平均が急落。積立を止めるべき?投資歴8年・準富裕層目前の会社員投資家が荒れ相場を乗り切る具体的な考え方と…
③ 今週も「売られなかった場所」がくっきりあった
今週も注目したのは、
「全面安に見える日でも、何が残っていたか」という点です。
ハイテク・グロース株が売られる局面でも、以下のセクターには資金が残っていました。
- 資源・エネルギー(INPEX、石油元売りなど)
- 海運(日本郵船、商船三井など)
- 金融(銀行・保険)
- 商社(三菱商事、三井物産など)
特に3月末の配当権利取りを控えた需給が、金曜の「売られながらも踏みとどまった」展開を下支えした側面もあります。
指数だけ見ていると「全部崩れた」に見えますが、こうした「資金の逃げ先と売られやすい場所」を一緒に見ることで、相場の性格がより鮮明につかめます。
地政学リスクが高まる局面では資源・エネルギーに追い風が吹きやすい——今週もこのセクターローテーションの動きは変わりませんでした。
地政学リスクと相場の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 地政学リスクと投資|相場が落ち着かない理由と会社員投資家の対処法
「なんとなく相場が不安定な気がする」その感覚は正しいです。地政学リスクの構造変化を投資歴8年・5,000万円運用中の会社…
今週の相場の背景:原油100ドルと円安160円という「ダブルの重し」
今週の日本にとって特に頭が痛かったのが、原油高と円安の同時進行です。
WTI原油は週初の88ドル台から週末には99.64ドルまで急騰。
日本は原油輸入の大部分を中東に依存しているため、エネルギーコストの上昇が製造コスト増→企業収益圧迫→消費者への価格転嫁というルートで実体経済に波及します。
さらに円安(ドル円が160円台を試す水準)も加わって、輸入コストは二重に膨らむ構図。
通常なら「円安=輸出企業の追い風」ですが、今週の円安は違います。景気期待ではなく、地政学リスクを嫌った「有事のドル買い」が主因でした。
この場合、輸入コスト増というマイナス面だけが際立つため、「円安なのに日本株が上がらない」という現象が起きます。
財務大臣が介入警戒発言を行った160円台は、市場が「防衛ライン」と意識している水準です。
来週もドル円の動きは要注意です。
来週の注目ポイント
来週(3/30〜)から日本では実質的な新年度(2026年度)相場が始まります。
確認したいポイントは以下の3点です。
① 中東情勢の続報
15項目の和平案を巡る攻防が続く中、停戦につながるか、それとも地上軍投入という最悪のシナリオへ進むか。
これが原油価格と週全体の地合いを決めます。
② 4月3日の米雇用統計
労働市場の強さが確認されればFRBの利下げ開始時期はさらに後退、金利高・ドル高が加速します。
逆に弱含めば「スタグフレーション懸念」が台頭。どちらに転んでも相場への影響は大きいです。
③ WTIが高止まりするか、原油が落ち着くか
原油が100ドルを超えて定着するようなら、「インフレ再燃→金利高止まり→株安」のシナリオが現実味を帯びます。
逆に落ち着けば「売られすぎ修正」の余地も見えてきます。
毎朝の地合い確認は、①原油 → ②米10年金利 → ③ドル円 → ④日経先物 → ⑤半導体株の強弱の順で見るのがおすすめです。
今週のまとめ〜「ニュースの見出し1本で動く相場」で大切なこと
今週の日経平均は月曜に1,857円安の全面安から始まり、水曜に1,497円の急反発、週末にかけて再び失速という展開でした。
くたびれる一週間でしたが、振り返ると3つのことが整理できます。
- 地政学リスク→原油高→金利上昇→ハイテク安という連鎖を把握しておくと、毎日の動きが読みやすくなる
- ダウ調整局面入り・ナスダック半年ぶり安値は「ノイズ」とは言いにくい水準。来週以降も注視が必要
- 資源・海運・金融への資金の残り方が、指数より先に相場の性格を教えてくれた
こういった局面で積立を続けている自分を、少しだけ褒めてあげてください。
「積立設定を変えない」というのは、思っている以上に大切なことです。
【付録】この記事に出てくる用語解説
投資を始めたばかりの方向けに、記事中の用語をざっくり解説します。
📌 調整局面
株価が直近の高値から10%以上下落した状態のこと。
「暴落」(20%以上下落)ほど深刻ではありませんが、上昇トレンドが一時的に止まったサインとして注目されます。今週、ダウが調整局面入りしました。
📌 WTI原油
ニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されているアメリカ産原油の先物価格のこと。
世界の原油価格の基準のひとつで、地政学リスクや需給バランスに敏感に反応します。今週は週初88ドル台から99.64ドルまで急騰しました。
📌 セクターローテーション
株式市場の中で資金が特定の業種(セクター)から別の業種へ移動する動きのこと。
今週は半導体・グロース株から資源・エネルギー・海運・金融へという流れが鮮明でした。指数全体が下がっていても、資金はどこかに向かっている——この動きを追うのがセクターローテーションを読むということです。
📌 地政学リスク
特定の地域での政治的・軍事的な緊張や紛争が経済や金融市場に与えるリスクのこと。
今週の場合は中東でのイランとの軍事的緊張がこれに当たります。ホルムズ海峡の通航が制限されると世界の原油供給に影響が出るため、地政学リスクの高まりは直接的に原油価格を押し上げます。
📌 有事のドル買い
戦争・大規模テロ・金融危機など世界的なリスクオフ局面で、安全資産とされるドルに資金が集まる現象のこと。
今週の円安がこれに当たります。景気期待による円安と違って、この場合は日本株の追い風にはなりにくく、むしろ輸入コスト増の逆風になります。
📌 権利付き最終売買日
株主優待や配当金をもらうために株を保有していなければならない最終日のこと。
3月末が配当・優待の権利確定日である銘柄が多いため、3月下旬は高配当株・優待株への資金流入が起きやすくなります。
今週の週後半で日本株が踏みとどまった一因でもあります。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
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