はじめに〜2025年、株式市場に起きている「ズレ」とは
2025年の株式市場では、米国と日本の金融政策が真逆の方向に動いています。
アメリカでは FRB(連邦準備制度理事会)が利下げを検討 しており、グロース株への資金流入が再び活発化する可能性があります。
一方、日本では 日銀が長期の超低金利政策から脱却を模索し、利上げに舵 を切ろうとしています。
つまり、米国では「グロース株の再評価」が、日本では「バリュー株の再評価」が進むという構図です。
この“非対称な動き”こそ、2025年の投資戦略を考える上で見逃せないポイントです。
本記事では、バリュー株投資の魅力や注目企業、そして今の環境に適した実践的な戦略を解説します。
市場サイクルと金利の関係〜グロース株とバリュー株の交代劇
株式市場は、長期的に「グロース株が強い時期」と「バリュー株が強い時期」が交互に訪れるサイクルで動いています。
-
低金利期
将来利益が高く評価され、グロース株が優位 -
高金利期
現時点で稼ぐ企業が評価され、バリュー株が優位
2022年以降のインフレを受けた利上げ局面ではグロース株の下落が目立ちましたが、その一方で高配当株や割安株への資金流入が見られました。
現在のようにFRBが利下げを検討し、日銀が利上げを模索している局面では、米国グロース株+日本バリュー株 の組み合わせが一つの有効な戦略といえます。
金利変化が投資環境に与える影響
2020年代初頭までは超低金利によって将来の成長が高く評価され、テクノロジー株などグロース銘柄が上昇を牽引してきました。
しかし、2022年以降はインフレ抑制のための急速な利上げが行われ、状況が一変。
結果、将来利益の価値が下がり、「いま稼ぐ企業」への注目が高まった のです。
NASDAQ指数が2022年に33%下落した一方で、日本市場では高配当株・商社株などが堅調に推移しました。
バリュー株投資の魅力を支える3つの視点
1. 配当という「確実なリターン」 💰
株価の値上がりは予測困難ですが、安定企業の配当は見通しやすく、長期投資の強い味方になります。
三菱商事(8058)
総合商社の代表格。資源・エネルギーから食品・生活関連まで事業を多角化。
配当利回りは4%前後と高水準で、安定したキャッシュフローを維持。株主還元意識も高い。
NTT(9432)
日本最大の通信企業。景気に左右されにくい通信収益基盤を持ち、AI・データセンター投資で成長も期待。
配当利回りは3%台、自社株買いにも積極的。
KDDI(9433)
「au」ブランドで知られる通信大手。通信に加え、金融・エネルギーなど周辺事業を拡大中。
配当利回りは3%後半、安定した増配実績を持つ。
例えば、これら3社に100万円ずつ投資すれば、年間約10万円の配当収入が期待でき、株価変動局面でも心の支えになります。
2. 実体経済に根ざした安定性 🏭
電力、ガス、通信、商社など、生活に欠かせないインフラやエネルギー分野は景気変動に強いのが特徴。
特に日本企業は為替リスクの分散や海外収益の比率向上が進んでおり、長期的に安定した利益を生み出す体質に変化しています。
3. 学術研究が示す「バリュープレミアム」 📊
ノーベル賞経済学者ユージン・ファーマとケネス・フレンチの研究では、PBRが低いバリュー株は高PBRのグロース株を長期的に上回るリターンを示す ことが明らかにされています。
短期的には波があるものの、10〜20年の長期スパンでは「割安株をコツコツ積み立てる戦略」が実績的にも有効です。
日本市場に吹く追い風〜PBR改革と新NISA 🇯🇵
2023年以降、日本市場では以下のようなバリュー株にとってプラスの材料が揃っています。
-
東証による PBR1倍割れ改善要請
-
過去最高額の 自社株買い発表
-
新NISA拡充(年間240万円の非課税枠)
これらにより、企業は株主還元を強化し、個人投資家も「高配当・割安株」を保有しやすい環境が整いました。
バリュー株投資の実践アプローチ
定量的指標で選ぶ
-
PER(株価収益率):15倍以下で割安感
-
PBR(株価純資産倍率):1倍以下に注目
-
配当利回り:3%以上を目安に
定性的な要素も確認
-
事業の持続可能性(社会に必要とされ続けるか)
-
財務健全性(自己資本比率・フリーCF)
-
経営陣の株主還元姿勢(配当・自社株買い)
分散投資でリスクを抑える
ETFを活用すれば、個別株のリスクを分散可能。
-
日本:日経高配当株50(1489)
-
米国:VTV、VYMなどのバリューETF
リスク管理と長期運用のポイント
バリュー株でも「バリュートラップ」には注意。
構造的に成長余地が乏しい業種は、永遠に割安のまま放置される可能性があります。
そのために僕は、
-
業種分散(10銘柄程度)
-
5年以上の長期保有
-
毎月積み立て(ドルコスト平均法)
を実践しています。
まとめ〜米国と日本のサイクルをどう組み合わせるか 🚀
株式市場はサイクルで動きます。
-
米国:FRBの利下げ検討 → グロース株が再評価される局面
-
日本:日銀の利上げ姿勢 → バリュー株・高配当株に追い風
つまり「どちらが有利か?」ではなく、異なるサイクルをどう組み合わせてポートフォリオを設計するか がカギです。
派手ではなくても、地に足のついた企業への投資は、長期的な安心と着実なリターンをもたらします。
いまこそ、自分の資産配分を見直し、「グロース+バリューの共存」を意識した投資戦略を考えるタイミングです。
🌱 関連noteのご案内
今回の記事では「FRBの利下げ」「日銀の利上げ」というマクロ環境の変化と、それに伴うバリュー株の注目度について整理しました。
より実践的な内容――
✅ 実際に私が注目している日本株・米国株の具体例
✅ バリュートラップを避けるための銘柄チェックリスト
✅ バリュー株×ETFのハイブリッド運用戦略
については、noteで詳しく解説しています。
note記事では、もう少しパーソナルな視点や気づきも交えて、「なぜバリュー株投資を続ける価値があるのか」を丁寧に掘り下げています。
長期投資を考える方にとって、ヒントになる内容になっていると思います。
📘 免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
投資判断はご自身の責任でお願いいたします。