水曜日に+1,539円まで戻した日経平均が、木曜日に-1,866円で全部返ってくる展開に。
「上げより下げが大きい」——この一言が今週の相場を象徴していましたね。
週の前半はFOMC前の期待感もあって買い戻しが入る場面がありましたが、FOMC通過後に市場が受け取ったのは「利下げはまだ遠い」というメッセージ。原油高と重なって、後半は再びリスク回避の流れへ。
ただ、全面安に見えた局面でも、じつは「売られなかった場所」がくっきり存在してました。
今週の動きを整理しながら、個人投資家が来週に向けて押さえるべき3つのポイントをまとめていきますね。
この記事でわかること
- FOMC通過後になぜ株価が急落したのか、その理由と構造
- 全面安の中でも資金が残っていたセクターはどこか
- 「円安なのに株が上がらない」現象が起きた理由
今週の相場をひと言で言うと
「戻る力はあるのに、何度も止められた一週間」でした。
週前半は原油価格が一服し、日米ともに買い戻しが入りました。でもFOMCを通過した木・金曜から空気が一変。インフレ再燃への警戒、利下げ期待の後退、原油の再上昇——この3つが重なって週後半は崩れる展開。
今週のテーマは一言で言えば「原油高と金利への恐怖が、何度も相場の天井を作った」ということ。
なお、先週(3/9〜3/13)の動きを確認しておくと今週の流れがより理解しやすくなります。先週も「戻れるのに戻り切れない」という同じテーマが続いていたことがわかります。
→ 【戻れるのに戻り切れない相場】FOMC・日銀前夜、今週の急落で見えた"資金の行き先"(2026/3/9〜3/13)
今週の主な動き(数字で整理)
日経平均の週次推移
| 日付 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 3/16(月) | 53,751円 | −68円 |
| 3/17(火) | 53,700円 | −50円 |
| 3/18(水) | 55,239円 | +1,539円 |
| 3/19(木) | 53,373円 | −1,866円 |
| 3/20(金) | 休場(春分の日) | — |
水曜の急反発をまるごと返した木曜の急落。週末はCME日経先物が大幅安で、週明けの波乱含みを示唆して終わっています。
米国市場
FOMCで政策金利は3.50〜3.75%に据え置き。
ただし市場が重く受け取ったのは金利据え置きそのものではなく、「早期利下げへの期待がさらに後退した」という空気感でした。
ラッセル2000(中小型株指数)は直近高値から10%超の下落で修正局面入り。大型株が相対的に粘る中、体力の少ない中小型株ほど厳しい展開が続いています。
為替・金利
ドル円は週を通じて159円台後半まで円安が進行。米10年国債利回りはFOMC後に再び上昇圧力が強まりました。
個人投資家が今週押さえるべき3つのこと
① FOMCで何が起きたのか——「据え置き」より「空気」が重かった
今週最大の注目イベントはFOMCでした。結果は政策金利の据え置き。これ自体は大方の予想通りでした。
では、なぜ市場は崩れたのでしょうか。
答えは「利下げへの期待がさらに遠のいた」という空気感です。加えてPPI(卸売物価指数)が市場予想を大幅に上回って発表され、インフレ再燃への恐怖が再び前面に出ました。
FRBが今直面しているのはインフレが収まりきらない中で雇用にも陰りが見え始めるという、かなり難しい局面。
「利下げしたいけどインフレが許さない」——この板挟みが、当面の相場の上値を抑え続けそうです。
実際に今週の動きを見ると、「好材料が出ても相場全体を押し上げ切れない」場面が繰り返されました。
これはFOMC以前から続く構造的な重さです。
② 全面安でも"逃げ場所"はあった——今週の資金の行き先
今週も注目していたのは「全面安に見える日に、何が売られなかったか」という点。
半導体や主力グロース株が売られる局面でも、以下のセクターには資金が残っていました。
- 商社(三菱商事、三井物産など)
- 資源・エネルギー(INPEX、石油資源開発など)
- 海運(日本郵船、商船三井など)
- 重要鉱物関連(三菱マテリアル、三井物産はストップ高水準まで買われた日もあった)
重要鉱物関連は、日米首脳会談で共同採掘・備蓄で合意したとの報道が材料に。
「指数が下がった=全部崩れた」ではない。
こういう局面ほど、どのセクターに資金が向かっているかを見ると、市場の本音が見えてきます。
原油が上がれば資源・エネルギーに追い風。地政学リスクが高まれば防衛・資源に逃避資金が流れる——今週もこのセクターローテーションの流れが鮮明でした。
こうした地政学リスクが相場に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 地政学リスクと投資|相場が落ち着かない理由と会社員投資家の対処法
③ 「円安なのに株が上がらない」はなぜ起きたのか
今週、ドル円は159円台後半まで円安が進みました。でも日本株は円安の恩恵をほとんど受けられませんでした。
なぜかというと、
円安の背景が「景気への期待」ではなく「地政学リスクとエネルギー高を意識したドル買い」だったからです。
通常の円安は輸出企業の業績期待につながり、日本株の追い風になります。
でも今回は、中東リスクを背景にしたドル買い・円売り。景気期待ではなく「有事のドル買い」です。
この場合、円安の進行はむしろ輸入コストの上昇→インフレ圧力→企業コスト増という逆風になります。
「円安だから安心」ではなく、なぜ円安になっているのかを見る——この一段深い視点が、今週の相場から学べる最大のポイントだと思っています。
今週の相場の背景:中東情勢と日銀のタカ派サプライズ
今週の相場を語る上で外せないのが中東情勢です。
中東での軍事的緊張を背景に、原油が上がるたびに
「インフレが収まらない→FRBは動けない→株に重し」というロジックが繰り返し市場を支配しました。
もうひとつは日銀の動きです。今週の会合で政策金利は0.75%に据え置き。ここは予想通りでした。
しかし審議委員の一人が1%への利上げを提案(反対票)したことが、想定より少しタカ派なサプライズとして受け取られました。
長期金利は一時2.26%付近まで上昇しています。
円安+原油高+日本のインフレ圧力という組み合わせは、日銀が今後動きやすい環境を静かに準備しているように見えます。
来週の注目ポイント
来週まず確認したいのは、中東情勢の続報と原油価格の動き。
- 原油が落ち着けば、リスクオン方向への揺り戻しが起きやすい
- 再上昇すれば、インフレ懸念→金利高→株安のループが続く
日本株については、週明けの寄り付きでどこまで売りが出るかに加え、売られる中でも
資源・商社・海運が粘るかどうかがヒントになります。
また、3月末の期末を控えた機関投資家のリバランスが入りやすいタイミングです。
指数の下落幅だけでなく、どこに資金が残るかを引き続き観察したい局面が続きます。
毎朝の地合い確認は、
①原油 → ②米10年金利 → ③ドル円 → ④日経先物 → ⑤半導体株の強弱の順で見るのがおすすめです。
今週のまとめ〜「上げより下げが大きい相場」でも資金は動いていた
今週の日経平均は水曜に+1,539円の急反発を見せながら、翌木曜に-1,866円で全部返す展開でした。
数字だけ見ると疲れる一週間ですが、
- FOMC後の市場心理の変化(利下げ期待の後退)
- 全面安の中でも資源・商社・海運には資金が残った事実
- 円安の「方向」だけでなく「背景」を見る重要性
この3点を押さえると、来週の地合いを読むための準備ができます。
こういう急落局面で「積立を続けるべきか」迷ったときは、以下の記事も参考にしてください。
→ 地政学リスクで相場が急落…積立投資はどうする?会社員投資家が実践する3つの対処法
→ インデックス投資で暴落が来たら「どうする?」サラリーマン投資家の判断軸
📝 今週の市況をもっと深く読みたい方へ 「FOMC通過後に何が変わったのか」「資金の二極化をどう投資に活かすか」について、noteでより踏み込んだ視点を書いています。ブログのデータ解説 × noteのマインド深掘りを合わせて読んでいただくと、相場の見え方が変わるかもしれません。
【付録】この記事に出てくる用語解説
投資を始めたばかりの方向けに、記事中の用語をざっくり解説します。
📌 FOMC
「Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)」の略。
アメリカの中央銀行であるFRBが年8回開催する会議で、政策金利を決める場です。「利上げ・利下げ・据え置き」のどれになるかで株式市場や為替が大きく動くことがあります。
📌 PPI(卸売物価指数)
企業が原材料や製品を仕入れる段階での価格変動を示す指標です。
PPIが上がると、その後の消費者物価(CPI)も上がりやすくなるため、FRBのインフレ判断に影響します。今週は市場予想を大きく上回り、利下げ期待の後退を加速させました。
📌 ラッセル2000
アメリカの中小型株2000銘柄で構成される株価指数です。
大企業中心のS&P500やダウに比べて金利上昇の影響を受けやすく、景気の先行指標としても注目されます。今週は直近高値から10%超の下落で「修正局面」入りとなりました。
📌 セクターローテーション
株式市場の中で資金が特定の業種(セクター)から別の業種へ移動する動きのこと。今週は半導体・グロース株から資源・エネルギー・商社へという流れが鮮明でした。指数全体が下がっていても、資金はどこかに向かっている——この動きを追うのがセクターローテーションを読むということです。
📌 リスクオフ
投資家がリスクの高い資産(株など)を手放して、安全とされる資産(現金・国債・金など)に資金を移す動きのこと。
「戦争リスクが高まった」「景気が悪化しそう」というニュースがきっかけになりやすく、株価が下がる局面でよく使われます。
📌 長期金利(米10年国債利回り)
アメリカ政府が発行する10年満期の国債の金利水準のこと。
利回りが上がると「株より国債のほうが安全で利回りも悪くない」という判断から株が売られやすくなります。今週はFOMC後に再び上昇圧力が強まりました。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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