新NISAで積立投資を続けていると、暴落よりも”別の怖い日”があることに気づきます。
AI株が連日最高値を更新しているニュースを目にしたとき、SNSで誰かの爆益報告を見たとき——「自分のオルカン積立、このままでいいのかな」とふと不安になる、あの感覚です。
投資歴8年・積立を続けてきた経験から、正直な話を書きます。
この記事でわかること
- なぜ積立投資家が”乗り換え衝動”に駆られるのか(FOMOという感情の正体)
- 方針を変えずに続けられた理由(ルールの作り方)
- 乗り換えたくなったときに立ち止まれる5つの質問
暴落の日より、隣が輝いて見える日の方が怖い
積立投資のリスクといえば「暴落時に怖くて売ってしまうこと」だと思われがちです。
でも、実際に続けてみてわかったのは、それと同じくらい難しい局面がもう一つあるということ。
「周りが自分より儲かっているように見える日」です。
個別のAI株が30%上昇した、半導体ファンドが年初来高値を更新した——というニュースが続くと、コツコツ積み立てているオルカンやS&P500の地味さが妙に気になってきます。
「少し比率を変えようか」
「積立額を一部そっちに回してみようか」
始めたばかりの頃よりも、半年・1年と続けてきた人の方がこの罠にはまりやすいと思っています。
続けてきたからこそ、比較できてしまうし、"機会損失"に敏感になってしまうんですよね。
感情に名前をつける
「乗り換えたくなる感情」には、実はちゃんと名前がついています。
FOMO(フォーモ)— Fear of Missing Out
直訳すると「乗り遅れ恐怖」。
自分だけが取り残されている、何かを損しているという感覚のことです。
SNSで誰かの利益報告を見たとき、職場の同僚が「あの銘柄、すごく上がってる」と話しているのを聞いたとき——そのたびにじわじわと積み上がっていくあの感覚がFOMOです。
これ、意志が弱いからとか勉強不足だからという話ではないんです。
人間の脳が「周囲と比較して損得を判断する」ようにできているから起きること。むしろ感じない方がおかしいくらいで、FOMOを覚える人は投資に真剣な証拠でもあります。
問題は、その感情のまま行動するかどうかです。
積立投資を続けていると、「この積立方針で大丈夫か」という不安はFOMOだけじゃなく、相場の動きそのものからも来ます。FOmCや経済指標が動いたときの考え方については、こちらの記事も参考にしてみてください。
→ 相場が動くたびに「この積立方針で大丈夫か」と不安になるパパママ投資家へ
相場が動くたびに積立方針を疑ってしまう……そんなパパママ投資家へ。投資歴7年の会社員パパが「FOMCとは何か」「なぜ相場…
FOMOで乗り換えると何が起きるか
オルカンやS&P500を積み立てているのは、特定のセクターや銘柄を当てにいくのではなく、世界経済全体の成長に長期で乗り続けるためです。
そこにFOMOで手を入れるとどうなるか。
AI株が好調なタイミングで乗り換えた場合、その後の調整局面で「やっぱり戻そう」と迷うことになります。
乗り換えて→戻して→また乗り換えてを繰り返すうちに、コストだけが積み上がって、肝心の「長期の複利」から遠ざかっていく。
それに、相場の上昇をニュースで知ったとき——それはすでに多くの人が気づいた「後」なんですよね。
「今から乗ろう」と思ったときには、往々にして旬が過ぎていることが多い。これはAI株に限らず、どのテーマ株でも繰り返されてきたパターンです。
積立を見直さなかったのはルールがあったから
実は、僕もFOMOを感じたことは何度かあります。
AI関連のファンドが連日上昇しているニュースを見て、「積立の一部をそっちに回してもいいかな」と考えた時期がありました。
オルカンをやめようとしたわけじゃない。ただ、比率を少し変えようか——という誘惑です。
結果的には方針を変えませんでした。
理由は、意志が強かったからではなく、あらかじめルールを決めていたからです。
僕の積立のルールはシンプルで、「毎月の積立額と銘柄は、相場の動きを見て変えない」というもの。
積立を始めた時点で、「相場が良くても悪くても、このルールに従う」と決めてありました。
ルールの良さは、判断を「先送り」してくれることです。「今変えるべきか」を毎回ゼロから考えると、そのたびにFOMOや不安が混ざり込んできます。
でも「このルールに従う」という判断が先にあれば、迷う余地が最初から小さくなります。
投資の判断は、相場が動いていないときの冷静な自分の方が、明らかに質が高い。
ルールとは、「冷静なときの自分」が「感情が揺れているときの自分」に渡す、事前の指示書みたいなものだと思っています。
「続けることができたのはルールだけじゃない、これまでの積み上げがあるから」と気づいたのは、過去の投資の記録を振り返ったときでした。よかったらこちらの記事も読んでみてください。
→ 【実績公開】NISA積立8年間の記録。失敗からシンプルな2本運用に絞るまで
NISA積立約8年・会社員ITエンジニアが、個別株での失敗からオルカン+S&P500の2本に絞るまでの全経緯を実績数字つ…
ただ、一つ正直に言うと——ルールがあっても、迷いはゼロにはなりません。
「変えた方がいいかな」という気持ちは、何度でも出てきます。そのたびに「ルールに従う」と決め直す、その繰り返しです。
感情を完全に消すのではなく、感情があっても行動に移さない。それが積立を続けることの、地味だけど本質的な難しさだと思っています。
「乗り換えたい」と思ったときの5問チェックリスト
積立の方針を変えたくなったとき、すぐ行動する前にこの5問に答えてみてください。
正解を出すためではなく、いったん感情にブレーキをかけるためのものです。
Q1. 今の積立を始めたとき、何のために始めましたか?
老後のため、子どもの教育費のため、経済的な自由のため——その理由は「今日の相場」で変わりましたか?
変わっていないなら、方針を変える根拠はまだ出ていないかもしれません。
Q2. 乗り換えたい銘柄が「上がっている」と知ったのはいつですか?
ニュースやSNSで知った場合、それはすでに多くの人が気づいた後です。
「今から乗る」ことが、本当に自分の目的に合っているか、立ち止まって考えてみてください。
Q3. 今の含み損(または含み益)は最初の想定の範囲内ですか?
積立を始めたとき、「多少の上下はある」と分かった上で始めたはずです。
今の動きはその想定の中に収まっていますか?想定内なら、方針を変える理由にはなりにくいです。
Q4.「変えたい」という気持ちは、データから来ていますか?感情から来ていますか?
SNSの爆益報告を見た、ニュースで連日上昇を見た——であれば、感情が動いている可能性が高いです。
感情が動くのは自然なことですが、それを「判断の根拠」にするかどうかはまた別の話です。
Q5. 5年後の自分に、この変更理由を説明できますか?
「SNSで上がっているのを見たから変えた」と5年後の自分に説明するのは少し心もとない。
逆に「自分のリスク許容度に合わなくなったから変えた」なら、それは立派な見直しです。
この5問、全部に答える必要はないです。1問でも「あ、そうか」と思えたなら、それで十分だと思います。
「退屈なくらいがちょうどいい」
積立投資を8年続けてきて、今一番感じるのはこれです。
派手に動かない積立が、結果的に一番着実だった。相場に合わせて動き回るより、決めたルールを守る方が僕には続けやすかったです。
ただ、積立の設定を絶対に変えてはいけないという話でもありません。
収入が変わった。家族構成が変わった。リスクを取りすぎて夜眠れない——こういう場合は、むしろ見直した方がいいです。
「自分の生活が変わったから見直す」のと「誰かが儲かって見えるから乗り換える」のは根拠がまったく違います。
その区別を持っておくだけで、積立の続け方はかなり変わってくると思います。
地政学リスクや急落のような「外部ショック」が来たときの判断も、考え方は同じです。こちらも参考にしてください。
→ 地政学リスクで相場が急落…積立投資はどうする?会社員投資家が実践する3つの対処法
イラン情勢で日経平均が急落。積立を止めるべき?投資歴8年・準富裕層目前の会社員投資家が荒れ相場を乗り切る具体的な考え方と…
まとめ〜積立投資でいちばん難しいのは「何を買うか」じゃない
この記事で書いたことを整理します。
新NISAの積立で試されるのは、暴落時だけではありません。
「周りが輝いて見える日」に方針を変えずにいられるかどうか——それが長期積立の本当の難しさです。
FOMOという感情は、投資に真剣な人ほど感じるもの。
感情を消すのではなく、ルールを使って「感情があっても行動しない」仕組みを作ることが、積立を続けるための実践的な方法だと思っています。
迷ったときは、5問チェックリストを開いてみてください。
少し冷静になれるはずです。
このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
もしよろしければ、少しだけ覗いていただけると嬉しいです。