外食を増やしたわけじゃない。大きな買い物をしたわけでもない。
旅行だって行っていない。
それなのに、マネーフォワードを開くたびに「あれ、今月も少ないな」と感じる——。
この違和感に、最近ようやく名前をつけられた気がしました。
この記事でわかること
- 節約しているのに家計が苦しくなる「本当の理由」
- インフレが個人の資産にどんな影響を与えているか
- 子育て世代が今すぐできる「守り」と「攻め」の2ステップ
正直、最初は自分のせいだと思っていました。「今月、ちょっと緩んだかな」と。
でもレシートを見ると、スーパーの食材が何となく高い。電気代の明細が「えっ」という数字になっている。内容量が減ったお菓子を手にしながら「あれ?」と思う瞬間が増えた。
使った「量」は変わっていないのに、出ていくお金が増えている。
これはつまり、家計管理が下手になったのではなく、暮らしそのものの値段が上がっているということです。
帝国データバンクが2026年5月に公表したデータによると、6月の食品値上げ予定は1,078品目、7月は2,269品目と4月以来の2,000品目超えが見込まれています。
しかも値上がりするのは食品だけじゃない。食品包装に使われる資材コストも上昇しており、今まで「横ばい」に見えていた商品の価格にもじわじわ反映されてくる可能性があります。
なんとなく感じていたあの違和感には、ちゃんと理由があったんですよね。
インフレは「静かな税金」——誰も請求書を送ってこない
給与明細を見ると、所得税・住民税・社会保険料がしっかり引かれていますよね。払っているとわかるから覚悟もできる。
でもインフレは違います。
アメリカの金融教育チャンネル「Minority Mindset」を運営するJaspreet Singh氏は、インフレを「サイレント・タックス(静かな税金)」と表現しています。
請求書は届かない。引き落としの通知もこない。ただレシートの端に、じわりと紛れ込んでくる。
電気代の明細を見てギョッとした感覚。内容量が減ったお菓子への「あれ?」。あれは全部、この静かな税金が動いているサインだったわけです。
そしてこの「静かな税金」は、現金を持ち続けている人ほど影響を受けます。
「貯金が一番」という感覚はデフレ時代の正解だった
日本はバブル崩壊後から長いあいだ、物価が上がらない——むしろ下がるデフレの時代が続きました。その時代において「現金で持っておけば、来年も同じものが買える」はまったく合理的な判断でした。
だから「貯金が一番」という感覚が根付いているのは、ある意味すごく自然なことです。
ただ、その前提が少しずつ変わってきているのが今の時代です。
100万円を銀行口座に入れておいても、5年後・10年後に同じ100万円分のものが買えるとは限らない。
貯金という行為は変わっていないのに、その「効き目」が以前よりずっと弱くなっている。
誤解しないでほしいのは、貯金を否定したいわけではまったくないということです。
生活を守るための緊急資金は絶対に必要だし、無理に動かす必要もない。
ただ「すべてを現金だけで守る」という考え方が、少しずつ機能しにくくなっている時代になった——それだけは知っておいてもいいかもしれません。
(値上げの全体像については「[JR・食品・光熱費…値上げが止まらない2026年に家計を守る方法]でも詳しく書いています。
2026年はJR・食品・光熱費・社会保険料と家計のあらゆる方向で値上げが続いています。何がどれだけ上がっているかデータで…
生活費は確かに上がっている。でも、資産は育っている
ここまで読むと、暗い話に聞こえるかもしれません。でも実は、僕の家計ではもうひとつのことが起きています。
毎月の電気代も、食費も、日用品もじわじわ重くなっている。それは確かです。
でもマネーフォワードで資産推移を確認すると、積み立て続けてきた投資信託の残高は時間をかけて増えていて、資産全体では上昇傾向が続いている。
もちろん相場は上下します。
先月のような急落で「うっ」となることもある(笑)。毎日きれいな右肩上がりになるわけじゃない。
それでも、インデックス投資を通じて世界の企業活動に参加し続けることで、インフレで削られる購買力の一部を別の場所で補いながら資産が育っていく——そんな感覚があります。
投資は「一発逆転の道具」ではありません。少なくとも僕にとっては、暮らしを長期で守るための仕組みというのが一番近い感覚です。
「守り」と「攻め」——2つに分けて整理するだけで頭がすっきりする
じゃあ、具体的にどうすればいいのか。
あれこれ同時にやろうとすると混乱するので、まず「守り」と「攻め」に分けて考えてみてください。
これだけでだいぶ整理されます。
守り:生活の土台を固める
ひとつは生活防衛資金の確保、もうひとつは固定費の見直しです。
生活防衛資金は、収入が途絶えても数ヶ月は生活できる現金を手元に置いておくこと。
これがあるかないかで、相場が少し動いたときの判断がまるで変わります。防衛資金がなければ、含み損を見るたびに「売らなきゃ」という気持ちになる。
土台があって初めて、「攻め」が機能するんですよね。
固定費の見直しは、電気代・通信費・保険料など毎月必ず出ていくお金を棚卸しすること。変動費を削るより、固定費の削減は「確実に効く」防衛策です。
インフレで支出が増えている今こそ、見直しのタイミングです。
攻め:お金に少しずつ働いてもらう
僕が実践しているのは、新NISAを使ったインデックス投資です。eMAXIS Slim S&P500やオルカンを毎月積み立てています。
これらを持っている理由は「儲かるから」というよりも、世界中の企業の成長に自分のお金を少しずつ参加させる仕組みとしてという感覚に近い。
物価が上がる局面では、企業の売上や利益もある程度それに追随していく側面があります。だから長期で持ち続けることに意味があるんですよね。
(暴落時の判断に不安がある方は「インデックス投資で暴落が来たら「どうする?」サラリーマン投資家の判断軸」も読んでみてください。同じような不安を持っていた僕なりの考え方をまとめています。)
インデックス投資中に相場が急落したとき、積立を止めるべき?買い増しすべき?投資歴8年・資産4,800万円の会社員投資家が…
収入の蛇口を増やすという発想も
ただ、正直に言うと、投資だけがインフレ対策のすべてではないとも思っています。
物価が上がる時代に本当に強いのは、資産を持っている人だけじゃなくて、収入を増やせる人・学び直せる人なんじゃないかと。
僕はITエンジニアとして本業を続けながら、投資の記録や気づきをブログやnoteで発信しています。まだ副業と呼べるほどの水準ではないのですが、続けていくうちに気づいたことがある。
本業の給料だけに依存していると、インフレで生活コストが上がったとき、削れるのは支出だけになってしまう。収入の蛇口を増やす努力をしていれば、将来の選択肢が変わってくるということです。
今すぐ大きな収入につながらなくても、その試みを続けることに意味があると思っています。
今日からできる小さな一歩
大きなことを一気に始める必要はありません。
まずは、じわじわ上がっている出費をひとつ見つけて「見える化」することから。電気代でも食費でも、月単位で変化を記録するだけで次の行動が見えてきます。
次に、生活防衛資金が今どれくらいあるかを確認してみてください。収入が途絶えても数ヶ月は生活できる現金があるか——これが積立投資を続けるための土台になります。
余力があれば、新NISAで月数千円からでも積立を始めてみる。完璧なポートフォリオを組まなくていい。最初はシンプルに1本だけで十分です。
未来を一気に変える必要はありません。ただ、何もしないまま削られ続ける状態から、少しだけ自分の手にハンドルを戻す。
それだけでも、十分に意味があると思います。
まとめ〜見えない税金には、見える準備で立ち向かう
インフレは、誰も請求書を送ってこない「静かな税金」です。気づいたときには、じわりと購買力を削られている。
でも、知ることはできるし、備えることもできます。
守りの土台を固めて、お金に少しずつ働いてもらって、収入の蛇口を少しずつ太くしていく。
この3つを同時に完璧にやる必要はない。どれかひとつから始めるだけで、何もしないよりずっといい。
僕自身もまだまだ途中です。
毎月の積立を続けながら、固定費を見直しながら、副業でもう一本の収入を育てながら。地味だけど、これが「見えない税金」への僕なりの静かな抵抗なのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
もしよろしければ、少しだけ覗いていただけると嬉しいです。