私、美咲、 やっとの思いで貯めた100万円を資金にNISAを始めてから2年が経っていた。
投資を始めたばかりの頃、評価額が少しプラスになるだけで大喜びしていたのが懐かしい。今ではだいぶ投資にも慣れて市場のちょっとした変動には以前ほど一喜一憂しなくなっていた。
自分なりのペースでコツコツと積立を続けるうち、NISA口座の残高も少しずつだが着実に増え「ちゃんと資産形成できている」という手応えを感じ始めていた。
「2年間続けてきてよかったな。これからもこのペースでいこう」
そんな風に少し安定した気持ちでいた矢先のこと。まさに、市場を揺るがすような出来事が起こった。
突然の激震 - トランプ関税ショック
「トランプ大統領、新たな関税政策を発表」
最初は、どこか遠い国の出来事のように感じていた。
でも、そのニュースが世界を駆け巡るうちに、みるみる市場の空気が変わっていくのがわかった。
スマホの画面では見たこともないような速さで株価が下落していく…。
まるで崖から突き落とされるような感覚。
慌てて自分のNISA口座を開いた時のことが今でも忘れられない。
そこには、ただただ痛々しいほどの真っ赤な数字が並んでいた。
私の3年間の積み重ねがまるで否定されたかのように感じて、スマホを持つ手が震えた。画面が赤く染まっていくのが、自分の未来まで暗闇に閉ざされていくようで本当に怖かった。
心が折れそうになった夜
「嘘でしょ…?」 何度見ても現実は変わらない。
投資額が少し増えていた分、含み損の額も1年前に経験したあの時とは比べ物にならないくらい大きくなっていた。
「3年も経験したのになんでこんなに怖いの?」 「前回の暴落で学んだはずじゃなかったの?」
自分を責める声が頭の中でぐるぐる響く。
大丈夫だって思っていた自分はどこへ行ったんだろう。経験なんて本当の嵐の前ではこんなにも無力なのかもしれないって本気で落ち込んだ。
眠れない夜が続いた。
SNSには相変わらず強気な意見や逆に絶望的な声が溢れていて、情報の大波に飲み込まれそうだった。
「もう全部売ってしまおうか」「いっそ投資なんてやめてしまおうか」…
そんな弱気な考えが何度も何度も心をよぎった。
友達に相談しようかとも思ったけどうまく言葉にできる気がしなくて、結局一人で抱え込んでしまっていた。
「大丈夫だよ」って、あの日の私が囁いた
どん底まで気持ちが落ち込んだ夜。ふと、本棚の隅にあった古びたノートが目に入った。
それは私がNISAを始める時に自分の決意や目標を書き留めていたノート。
パラパラとめくってみるとそこには拙い字で書かれた私の「願い」が記されていた。
「将来のお金の不安から自由になりたい」 「もっと自信を持って自分の人生を歩みたい」 「未来の自分に今の自分がプレゼントを贈るんだ」
その言葉を読んだ瞬間、涙が溢れてきた。
そうだ、私はただお金を増やしたかったんじゃない。未来を変えたかったんだ。
ノートの文字がまるでタイムカプセルみたいに、あの日の私の決意を届けてくれた気がした。
そして、なんだかあの日の私が、今の私に「大丈夫だよ、あなたならできるよ」ってそっと囁いてくれているような気がした。
わたしが決めたこと、未来への約束
涙を拭いて私は改めて心に決めた。 それはやっぱり「続けること」
ただ機械的に積立を継続するんじゃない。これは未来の自分との約束なんだ。
怖くても不安でも、未来の自分への投資をやめるわけにはいかない。
市場の嵐に立ち向かうことは、私がお金とそして自分の人生ときちんと向き合うための大切な挑戦なんだ、そう思えた。
だから私は、いつも通り翌月の積立設定を確認した。金額も銘柄も変えない。
ただ、今までよりも少しだけ強い覚悟を込めて。
嵐の中で見つけた「わたしの光」
今も市場は混乱しており、元通りになる気配はない。私のNISA口座もまだ嵐の真っ只中だ。
でも、不思議なくらい心は穏やかだった。
それはきっと、今回の経験を通してお金の増減よりももっと大切なものに気づけたからだと思う。
市場がどんなに荒れていても自分の軸をしっかりと持って、決めたことを淡々と続けることの強さ。
ピンチに見える状況の中にだって必ず成長の種が隠されていることへの感謝。 そしてどんな時も未来を信じる気持ち。
これこそが私がこの嵐の中で見つけた「わたしの光」なんだ。
ドルコスト平均法っていう難しい言葉の効果も信じている。
でもそれ以上にこの経験が私を強くしてくれた。もう、ただ市場の顔色をうかがうだけの私じゃない。
最後に、あなたへ
もし、あなたが今、同じように不安な気持ちでいるなら大丈夫だよって伝えたい。
怖いし不安だけど、そんな時こそ投資を始めた時の、あのキラキラした気持ちを思い出してみてほしい。そして、どうか感情に流されないで。
あなたの未来を、あなた自身が信じてあげてほしい。
嵐はいつか必ず過ぎ去る。
そして、その先にはきっと、もっと強くなったあなたと新しい景色が待っているはずだから。
一緒にこの嵐を乗り越えていこう。 そして、それぞれの場所でそれぞれの未来を力強く育てていこう。