「103万の壁」「106万の壁」「150万の壁」——このところ、SNSでもニュースでもこのワードをよく見かけるようになりました。
正直、最初は「またこの話か」くらいの温度感で読み飛ばしていました。
うちの子はもう大学3年生だし、扶養控除の話は毎年ちゃんと年末調整で通っている。特に困ったこともない——そう思っていたからです。
でも、ふと気になったんですよね。うちの息子は21歳になったばかりだけど、この改正の対象になるんだろうかと。
就活も本格化してきて、学費もかかる時期です。もし息子がアルバイトを増やしたら、僕の税金にどう跳ね返ってくるのか、考えたことがありませんでした。
そこで、手元にある源泉徴収票を引っ張り出して、実際に計算してみることにしました。
この記事でわかること
- 2026年度の扶養の壁の最新ライン
- 自分の源泉徴収票を使った試算のやり方
- 21歳の息子で実際に計算してみた結果
- 住民税・健康保険との基準の違い
投資歴8年、教育費の支払い最盛期を過ごしている会社員の実体験として書いています。
特定親族特別控除とは?2025年度改正で新設された制度
改めて調べてみると、「特定親族特別控除」という制度は2025年度の税制改正で新しくできたばかりのものでした。しかも2026年度の改正で、条件がさらに広がっていたんですよね。
ざっくり言うと、19歳以上23歳未満の子どもの給与収入が136万円を超えても、親の控除がいきなりゼロになるわけではなく、段階的に減っていく仕組みです。
以前、高1の娘のこどもNISAを同じように試算した記事を書いたのですが、あのときも制度の名前が持つ怖さと、実際の数字はけっこう違っていました。
今回もそのパターンに近い気がしています。
(関連記事はこちらです
→ こどもNISA、高校生は何年使える?|高1娘で試算)
「壁」は崖じゃなく坂道だった——2026年の控除額
これが一番驚いたところです。
136万円を超えても、159万円までは63万円の控除が丸々残ります。少なくとも所得税については、「壁」というより控除が段階的に減っていく坂道に近い仕組みでした。
※19歳以上23歳未満・生計を一にしている・収入が給与のみの場合の目安です。事業所得など別の所得がある方は合計所得金額での判定になります。
「うちの場合」で計算してみた
制度が分かったところで、次は自分の数字です。リビングのテーブルに源泉徴収票を広げて、スマホ片手に計算をはじめました。
まず、息子の状況を改めて聞いてみたんです。
答えは拍子抜けするものでした。
この記事を書いている2026年7月時点で、今年に入ってからのアルバイト収入はまだ0円だそうです(笑)
大学3年になって授業もゼミも忙しくなり、公認会計士を目指す資格の勉強が本格的に重なってきたからだと。「壁を超えるかどうか」を計算する気満々だったのに、そもそも計算する土俵にすら立っていませんでした。
とはいえ、この計算方法自体は知っておいて損はありません。息子の現実的な収入見込みとは離れますが、僕自身の源泉徴収票(令和7年分)を使って、いくつかのケースで試算してみました。
見るべきは次の二つの欄でした。
給与所得控除後の金額 約1,090万円
- 所得控除の額の合計額 約300万円
= 課税所得の概算 約790万円
この課税所得は「695万円以上900万円未満」の枠に入るので、税率は23%。これが、控除が減って新たに増える部分にかかる「限界税率」です。
ケース1:年間145万円だった場合
136万円は超えていますが、159万円以下なので控除は63万円のまま。
僕の税負担は今年と変わらず、増加額は0円です。ただし控除の名前が「扶養控除」から「特定親族特別控除」に変わるので、年末調整で勤務先へ申告書を提出する必要がある点は覚えておきたいところです。
ケース2:年間165万円だった場合
159万円を超えるので、控除は63万円から51万円に減ります。減少分は12万円。
控除の減少額 12万円 × 限界税率23% × 復興特別所得税分1.021 = 約28,200円
僕の税負担は、年間で約28,200円増える計算になりました。
月にならすと2,000円台です。控除が12万円減ると聞くと税金も12万円増えるような印象を持ちますが、実際は限界税率をかけた分しか動きません。控除額と実際に増える税金は、同じではないんですよね。
自分の源泉徴収票で計算する3ステップ
給与収入が中心で、前年から年収やほかの控除が大きく変わらない会社員なら、自分の源泉徴収票を使って同じように税負担増を概算できます。
① 現在の課税所得を出す
給与所得控除後の金額 - 所得控除の額の合計額 = 課税所得(1,000円未満切捨て)
② 子どもの収入変化による控除の増減を確認する
「今の収入見込み」と「増えた場合の収入見込み」、それぞれの控除額の差を確認します。
③ 税負担増の目安を出す
控除の減少額 × 自分の限界税率 × 1.021 = 所得税負担増の目安
一点だけ注意です。副業・複数勤務先からの給与がある方、住宅ローン控除で所得税がほぼ全額控除されている方、控除減少後に税率区分をまたぐ方などは、この簡易式だとズレが出やすいです。
該当する方は、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」も一緒に確認してみてください。
住民税・健康保険は所得税と基準が別
ここまで計算してきたのは所得税の話です。
子どもの収入による影響は、住民税と健康保険にも別々に出てきます。
住民税は、2026年中の収入の影響が原則として2027年度の住民税に表れる仕組みで、所得税とは基準になる年がずれます。
満額控除が残るラインも違っていて、住民税では169万円まで45万円がフルに残る計算です。「所得税は大丈夫だったから住民税も大丈夫」とは思い込まないほうがよさそうです。
もうひとつ、健康保険の扶養にも基準があります。19歳以上23歳未満の子については、2025年10月から被扶養者の年収要件が130万円未満から150万円未満に引き上げられています。
しかも健康保険の「年間収入」は確定額ではなく、認定時点からの見込み収入で判定されるので、税金の考え方とは少し違う点も覚えておきたいところです。
よくある疑問
Q. 収入はいつの時点で判定されますか?
所得税は暦年(1〜12月)の合計収入で判定します。健康保険は少し違い、認定時点から今後1年間の見込み収入で判定される点に注意が必要です。
Q. 掛け持ちバイトの場合はどうなりますか?
給与収入の合計で判定します。1社の源泉徴収票だけでは正確な金額が分からない場合があるので、複数の勤務先がある場合は本人の全体の収入を確認するのが確実です。
Q. 住宅ローン控除がある場合の計算は?
限界税率の考え方がズレることがあります。源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」欄も一緒に確認してみてください。
まとめ:先回りして心配するより、そのときの数字で計算し直す
わが家の結論としては、今年の所得税負担増は0円でした。
ただそれは「壁を超えなかったから」ではなく、そもそも壁の手前にすら立っていなかったからというのが正直なところです。
先日、息子と将来の話をしたときのこと。公認会計士を目指していて、本音では学生のうちに合格したい。それが叶わなかった場合は、会計事務所に所属しながら資格取得を目指す道も考えているようでした。
バイト代の心配をするより先に、今の彼にはやるべきことがちゃんとあるんだなと感じました。
もちろん、これは今年の話です。資格の勉強や進路が固まって、来年以降アルバイトを増やしたくなったら、そのときはまたこの記事の計算式を引っ張り出して、新しい数字で計算し直すつもりです。
壁の位置を先回りして心配するより、そのときの状況に合わせて計算し直す。そのくらいの距離感でちょうどいいのかなと思っています。
「うちの子はどうなんだろう」と思ったら、まず制度のニュースを読み込むより先に、本人の今年の収入と年末までの見込みを聞いてみてください。
そのうえで親の源泉徴収票を1枚引っ張り出す。子どもが壁からどれくらい離れているのか、もし超えたら親の税金はいくら変わるのか——この二つを分けて見るだけで、漠然とした不安はずいぶん小さくなります。
なお、教育費と生活防衛資金の置き場所については、こちらの記事でも整理しているので、あわせてどうぞ。
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📝 この記事のテーマをもっと深く知りたい方へ
「息子のバイト代、扶養の壁は大丈夫か——21歳・大学3年の息子を源泉徴収票で計算したら…」をnoteで公開しています。実際に電卓を叩きながら考えた過程も、もう少しリアルに書いています。
📚 この記事で参照したデータ
- 「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」国税庁(令和8年度公表)/2026年8月3日参照
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/index.htm - 「No.2260 所得税の税率」国税庁(令和7年4月1日現在法令等)/2026年8月3日参照
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm - 「令和8年度税制改正の大綱」財務省(令和7年12月26日閣議決定)/2026年8月3日参照
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_mokuji.htm - 「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」日本年金機構(2025年8月公表)/2026年8月3日参照
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html
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