「指数に加わった企業の株は、その日から買われて上がっていく」——そんなイメージ、ありませんか?
正直、僕もどこかでそう思い込んでいました。
2026年7月7日、SpaceXが正式にNASDAQ100へ組み入れられました。指数連動ファンドから数千億円規模の資金が流れ込むと試算されていた、いわば「お祭りの日」です。
でも、その日のSpaceX株は下がりました。
この記事でわかること
- NASDAQ100「ファスト・エントリー」ルールの要点
- 指数入り当日に株価が下がった理由
- 自分のポートフォリオへの実際の影響
- NASDAQ100とS&P500の性格の違い
おさらい:「ファスト・エントリー」とは
NASDAQ100の組み入れルールが2026年5月1日に変わったことは、以前の記事で詳しく書きました。ここでは要点だけおさらいします。
(詳しいルールの中身については、NASDAQ100が変わった。インデックス投資家が知っておきたい3つのルール変更でも書いています)
NASDAQ100のメソドロジー変更を会社員目線で解説。ファスト・エントリー制度の導入でSpaceXが組み入れられる可能…
ざっくり言うと、こういうことです。
「新人が何ヶ月も実績を積むのを待つ会社ではなく、入社直後から重要なポジションを任せる会社になった」
Nasdaq自身の説明では、上位ランクの新規上場企業について、上場から短期間で指数への早期組み入れが判定される仕組みが新設されました。背景にあるのは、企業が非上場のまま長く留まり、より大きな規模になってから上場するケースが増えているという市場構造の変化です。
ルールの詳しい中身が気になる方は、上の過去記事もあわせてどうぞ。ここからは、このルールが実際に発動した「当日」に何が起きたかを見ていきます。
SpaceX組み入れ当日、株価が6.8%下がった理由
指数連動ファンドから約43億ドル——日本円で6千億円規模のパッシブ資金が流れ込むと試算されていた組み入れ日。
でも、数字で見るとこんな感じでした。SpaceXの株価は、組み入れ当日に6.8%下落しました。
宇宙船は飛んだのに、株価は飛ばなかった——というのが正直な感想です。
下落の理由をひとつに断定することはできません。組み入れ期待がすでに株価に織り込まれていたことに加えて、この日はサムスン電子の決算をきっかけにAI・半導体株全体の地合いが悪く、フィラデルフィア半導体株指数が4.65%急落するなど、ハイテクセクター全体が売られた日でもありました。
「不安って、だいたい単独犯じゃないんだよな」というのが、この日あらためて実感したことです。
指数に入る=買われて株価が上がる、と単純にはいかない。投資の重力って、けっこう強いんだなと思いました(笑)。
時価総額2兆ドルでもウエイト1.34%に抑えられた理由
SpaceXの指数内ウエイトは、組み入れ時点で約1.34%でした。時価総額2兆ドル級の会社にしては、ずいぶん控えめな数字です。
理由は、SpaceXの浮動株が非常に少ないことにあります。SpaceXはデュアルクラス構造といって、創業メンバーが議決権の強い株式を大量に保有する設計になっています。
- 市場で実際に取引できる株式:発行済み株式のわずか4%程度
- ウエイト計算に使う株式数の上限:浮動株数の3倍まで
Nasdaqのメソドロジーでも、浮動株比率が低い銘柄は時価総額を「浮動株価値の3倍」を上限として評価する仕組みが定められています。会社が巨大でも、市場に出回っている株が少なければ、指数ファンドが際限なく買い込むわけにはいかない。「入れるけど、入れすぎない」ブレーキが同時に付いている、というのが僕の理解です。
正直、この設計を知って少し安心しました。ルールって、地味に見えて実は一番効いている安全装置なんだと思います。
自分のポートフォリオではどうだったか
ここで、自分のニッセイNASDAQ100の保有状況を確認してみました。
組み入れ時点の指数ウエイト1.34%を自分の評価額に掛けてみると——実際に指数を通じて持つことになったSpaceXは、だいたい9,000円分でした(※ファンド内の実際の保有額とは基準日・信託報酬・連動誤差の分だけ多少ズレる単純計算です)。
ロケット1機どころか、機体に留めてあるボルト1本分にも届かない持ち分ですね。数字にしてみると、夢と現実の距離がちょうどよくわかる気がします。
もう一つ、振り返って気づいたことがあります。
僕は5月18日にSBIラップ(AI投資・匠の運用コース)を解約していました。そしてその後、毎月29日にニッセイNASDAQ100インデックスを、成長投資枠での積立に切り替えています。
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「NASDAQ100の性格が変わりつつある」というニュースに反応していたのとほぼ同じタイミングで、実際にNASDAQ100への配分を厚くする判断をしていた。当時は、二つを繋げて考えてすらいませんでした。でも振り返れば、その頃の自分が米国の大型成長株に強く惹かれていたことは間違いなさそうです。
NASDAQ100とS&P500、指数としての性格の違い
今回の一件で、腑に落ちたことがもう一つあります。
NASDAQ100が「早耳スカウト」型に舵を切った一方で、S&P500を運営するS&P Dow Jones Indicesは、同様の早期採用ルール変更を行っていません。
| 指数 | 巨大新規上場企業への対応 |
|---|---|
| NASDAQ100 | 条件を満たせば早期組み入れ(ファスト・エントリー) |
| S&P500 | 早期採用の変更なし。採用まで最短でも12ヶ月程度、しかも自動採用ではない |
僕なりに例えるなら、こんな感じでしょうか。
- NASDAQ100:新人の才能を見込んで、初日から重要なポジションを任せる会社
- S&P500:実績と勤続年数を確認してから昇進させる会社
- オルカン:世界中の会社に少しずつ出資している持株会社
どちらが優れているという話ではないと思っています。ただ、この性格の違いを知っているかどうかで、次に相場が荒れたときの心構えはけっこう変わってくる気がするんですよね。
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まとめ:放置していいのは売買であって、理解ではない
「何もしなくていいのがインデックス投資の強み」——ずっとそう思ってきました。
でも今回よくわかったのは、何もしなくていいのは「売買のタイミング」の話であって、指数の中身を理解しなくていいという意味ではない、ということです。
NASDAQ100はSpaceXを取り込んだことで、ほんの少しだけ宇宙に近づきました。でも、僕たちの家計まで一緒に無重力になる必要はないと思っています。
だから、NASDAQ100をコアではなくサテライトとして持ち続けると、あらためて判断しました。コアはオルカンとS&P500。この配分は変えません。NASDAQ100は、未来の成長を早耳で取りにいく場所として、割合を決めて付き合っていく——そう決めています。
宇宙に浮かれるのは、指数だけで十分です。夢を持つのはいい。ただ、配分は現実的に決める。7月7日の下落は、そのことを改めて教えてくれた気がしています。
より詳しい思考プロセスや当日の心境は、noteの元記事でも書いているので、興味があればあわせてどうぞ。
📚 この記事で参照したデータ
- 「Nasdaq-100 Index® Methodology Update: Why Now, and What It Means」Nasdaq, Inc.(2026年5月公表)/2026年8月2日参照
https://www.nasdaq.com/newsroom/nasdaq100-index-methodology-update-why-now
※株価・指数ウエイト・自分のポートフォリオに関する数字は、2026年7月7日時点の自身の証券口座およびmoney.note.comのチャートデータにもとづくものです。制度や条件は変わるため、最新は各出典先でご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記事中の数字・制度・商品条件は執筆時点のものです。最新の情報は各出典先および公式サイトでご確認ください。
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