トランプ政権になってから、正直、驚くことに慣れてしまった気がします。
関税をめぐる発言で相場が揺れたと思ったら、2月末には米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけにホルムズ海峡の通航不安が広がり、6月にはFRBの独立性をめぐって最高裁の判断まで注目される展開になりました。
そのたびに「まあ、今回もそのうち収まるだろう」と、どこかニュースを他人事みたいに眺めていた自分がいます。
でも、スーパーで洗剤を手に取ったとき、値段の桁が変わっていることに気づいたんです。
詰め替え用のシャンプーも、心なしか値上がりしている。ホルムズ海峡なんて、普段の生活とは無縁の遠い場所の話だと思っていました。それが、まさか自分の家の洗面所にまで届くとは思いませんでした。
このとき、ふと思ったんです。
僕はオルカンやS&P500を通じて、資産の少なくない部分をアメリカに預けています。でも僕が信じているのは、アメリカ企業の稼ぐ力なのか。それとも、アメリカという国そのものなのか——。
この記事では、そんな疑問をきっかけに、自分のポートフォリオを棚卸しして「本当の米国比率」を数えてみた記録と、そこから見えてきた考え方をまとめます。
この記事でわかること
- 「オルカンだから安心」だけでは見えていない、資産の本当の米国比率の考え方
- 世界と、アメリカ国民自身が、いま自国をどう見ているか(データで)
- 自分の資産の米国比率を、誰でも計算できる3ステップ
- 米国比率の高さがわかった後、僕が実際に変えたこと・変えなかったこと
関税、ホルムズ海峡、FRB――ニュースが「自分ごと」になった日
正直、車を持っていないので、原油高のニュースにもあまり実感がありませんでした。
「自分には関係ないかな」くらいの温度感で見ていたんです。
でも調べてみると、イラン情勢を受けて国内の化学メーカーが軒並みエチレンの減産に入っていて、洗剤やシャンプー、食品用ラップまで、身近なものの値段にじわじわ効いてきているらしいんですよね。
エチレンはプラスチックや合成繊維の原料になる基礎化学品で、洗剤の主成分である界面活性剤にもつながっています。
ホルムズ海峡なんて、普段の生活とは無縁の遠い場所の話だと思っていました。それが、まさか自分の家の洗面所にまで届くとは思いませんでした。
洗剤の値段でホルムズ海峡を意識する日が来るとは、正直、笑ってしまいました。
そして、ふと思ったんです。
僕はS&P500やオルカンを通じて、資産の少なくない部分をアメリカに預けています。でも最近、思うことがあります。
僕が信じているのは、アメリカ企業の稼ぐ力なのか。それとも、アメリカという国そのものなのかと。
世界もアメリカ国民自身も、いま自国をそこまで信じていない
洗剤の値段くらいなら笑い話で済みますが、調べていくと「アメリカへの信頼」自体が、数字の上でもはっきり落ちていることがわかりました。
Pew Research Centerが2026年6月に発表した、36カ国・42,151人を対象にした調査では、トランプ氏の国際問題でのリーダーシップを信頼すると答えた人は、中央値でわずか23%。
アメリカに好意的な見方をする人は37%、非好意的な人は57%と、好き嫌いが完全に逆転しています。
特に印象的だったのがカナダの数字です。
アメリカを「信頼できるパートナー」と見る人の割合が、2022年の83%から2026年には35%まで落ちている。お隣同士でここまで変わるのかと正直驚きました。
日本も他人事ではなく、同じ調査でトランプ政権の関税政策への評価は承認率15%にとどまっています。
政治の好き嫌いというより、単純に「世界からアメリカがどう見られているか」の温度感として、投資家目線でも無視しない方がよさそうな数字だと思います。
しかもこれは、海外から見た話だけではありません。アメリカ国民自身も、自分の国の政府をそこまで信じていないんです。
Pew Research Centerが1958年から続けている定点調査の最新版(2025年)では、「ワシントンの政府はだいたい正しいことをする」と答えたアメリカ人はわずか17%。
約70年続くこの調査の中でも、かなり低い水準にあたるそうです。
外から見た評価が下がっているだけなら「まあ、他国からどう見られるかなんて気にしすぎても仕方ない」で済ませられたかもしれません。
でも、当のアメリカ人自身が「自分の国の政府はあまり信用できない」と思っているというのは、少し話が違ってきます。
投資家としては、ここが結構大事なポイントだと思っています。
政府への信頼が国内でも国外でも下がっているというのは、政策の一貫性や制度の安定性への疑問符が、思ったより根深いというサインだからです。
ただ、ここで一度立ち止まりたいんです。
「アメリカ政府を信じられない」ことと、「アメリカ株に投資しない」ことは、本当にイコールなんでしょうか。
「政府を信じられない」と「米国株をやめる」は実はイコールじゃない
結論から言うと、米国株に投資するというのは、厳密には「アメリカ政府を丸ごと信任すること」ではありません。
実際にお金を託しているのは、米国市場に上場している企業の収益力とドル建ての金融システムの方です。
S&P Globalのデータによると、海外売上を開示しているS&P500企業(268社)の2025年1〜3月期の海外売上比率は35.9%。
つまりS&P500企業は「アメリカ国内だけで稼いでいる会社の集まり」ではなく、世界中で稼いでいるグローバル企業の集合体でもあるわけです。
しかも、企業の稼ぐ力自体はまだ強い。
Goldman Sachsは2026年のS&P500について、EPSが2026年に12%、2027年に10%増えると見ています。
AIへの投資や大型株の利益率が支えになっているという見立てです。
ただし同じレポートは同時に、S&P500の予想PERが22倍と2000年のITバブル期のピークに近い水準まで来ていることや、大型テック株への集中度が過去最高水準になっていることも指摘しています。
強気ではあるけれど、無邪気に強気なわけではない。
正直、この数字を見て一瞬「じゃあもう少し買い増しても」と欲が出かけたのですが、そう思った時点でだいたい危ないやつなので、いったん忘れることにしました。
相場が強いときほど自分を過信しがちなのは、僕もまったく例外じゃありません
(このあたりの「乗り遅れ焦り」との付き合い方は、AI株に乗り遅れた気がしているパパママ投資家へでも書いたので、気になる方は合わせてどうぞ)。
「AI株に乗り遅れた」と焦った経験はありませんか?業績・期待・資産配分の3つで判断すればテーマ株の誘惑に流されない。投資…
僕なりに整理すると、こうなります。
米国株はまだ強い。でも、強いからこそ、無条件に信頼して比率を積み増していくのは、そろそろ危ういフェーズに来ている気がします。
政府への信頼と企業への投資判断は、分けて考えていい。むしろ分けて考えないと、いつの間にか「アメリカという国」に全部賭けてしまっていることになります。
米国株を疑うためではなく、米国株を持ち続けるために、僕は一度、距離を測り直したくなりました。
自分の資産、実際何%が米国なのか。誰でもできる3ステップで数えてみた
「オルカンとWealthNaviでちゃんと世界に分散してるつもり」でした。
でも、ニュースを見て不安になったのをきっかけに、保有している商品をひとつずつ「これは実質どれくらい米国なのか」で仕分けしてみることにしました。
やり方自体は、そんなに難しくありません。同じことは、皆さんの証券口座でもできます。
STEP1|保有商品をリストアップする
投資信託・ETF・個別株・確定拠出年金(DC)まで、動かせる資産をひととおり書き出します。
「これは考えるのが面倒だから後で」は禁止です。
STEP2|商品ごとの「実質米国比率」を確認する
だいたいの目安は、こんな感じです。
| 商品タイプ | 実質米国比率の目安 |
|---|---|
| オルカン(オール・カントリー) | 約63.5%(MSCI ACWIの米国組入比率) |
| ニッセイ外国株式などMSCIコクサイ系 | 約7割前後 |
| S&P500・米国個別株 | 100% |
| 日本高配当株・日本個別株 | 0% |
| 金(GLD・GLDM・IAUなど) | 「国」の計算からは対象外 |
STEP3|保有額×米国比率で加重平均を出す
それぞれの保有額に米国比率を掛けて合計し、資産全体で割れば、実質的な米国比率が出ます。
これで計算してみると、僕の場合、投資信託・ETF・現物株といった動かせる資産のうち、実質的に米国に紐づいている比率はおよそ67%、だいたい3分の2でした。
正直、思っていたより多かったです。ある程度分散されてると思ってたのに、蓋を開けたら中身の3分の2がアメリカだったというのは、なかなかの衝撃でした。
これに確定拠出年金(DC)も足すと、DCの中には純粋な日本株ファンドも混ざっているので、全体では米国比率は63.6%に少し下がります。
それでも「だいたい6割から7割がアメリカ」という結論自体は変わりません。
ちなみに、国内個別株や暗号資産まで含めた資産全体で見ると、比率は4割強まで下がります。
日本株や暗号資産という、米国とは関係ない資産も一定あるからです。
それでも、資産全体の4割以上が実質アメリカに乗っているというのは、決して小さい数字じゃないと思っています。
この配分は、思いつきで作ったものではなく、2018年から約8年かけて積み上げてきたものです
(このあたりの積立の歴史はNISA積立8年間の記録にまとめています)
NISA積立約8年・会社員ITエンジニアが、個別株での失敗からオルカン+S&P500の2本に絞るまでの全経緯を実績数字つ…
知ったからといって、今すぐ何かを売るわけじゃない
正直に言うと、この数字を見て「じゃあ今すぐ米国株を減らそう」とは思いません。
米国企業の稼ぐ力自体はまだ信じていますし、何より今のポートフォリオは8年かけて積み上げてきたものです。数字が出たからといって慌てて売買するのは、それこそニュースに振り回されているのと変わらない気がします。
じゃあ何も変えないのかというと、そうでもありません。
今回はっきりしたのは、「新しく積み立てるお金を、これ以上米国だけに寄せていく必要はなさそうだ」ということでした。
実際、僕の積立の中には日本高配当株や、日欧株・新興国株・金といった「米国以外」の枠がすでにあります。
以前、SBIラップを解約したときも、行き先として選んだのは米国一本足打法ではなくオルカンと日本高配当の組み合わせでした
(そのときの判断プロセスはSBIラップを解約した理由に書いています)
SBIラップを解約して戻ってきた133万円を、新NISA成長投資枠でオルカン100万円+日本高配当40万円に置き直しまし…
今回の棚卸しで、その枠を無理に削らなくていい理由が、むしろはっきりしました。
言い方を変えると、今回やったのは「行動を変える」ことではなく「今の配分に納得する」ことだったのかもしれません。
米国が7割近くを占めているのを知った上で、それでも積立を続ける。知らずに7割乗っているのと、知った上で7割乗っているのとでは、いざ暴落が来たときの自分の反応がたぶん違う気がします。
売る・売らないの二択で考えると、投資はどうしても忙しくなります。
今回みたいに、たまに立ち止まって「自分は何にどれだけ乗っているのか」を数えてみるのが、少なくとも僕には、ちょうどいい距離感でした。
まとめ〜アメリカを信じるかじゃなくて、自分の設計を信じられるか
この記事を書きながら、あらためて思ったことがあります。
アメリカを信じるか、信じないか。その二択で考えると、投資はどうしても乱暴になります。
政府への信頼が下がっているのは事実だし、企業の稼ぐ力が強いのも事実。どっちも本当のことで、どっちか一方だけを選ぶ必要はないんですよね。
僕が今回やったのは、「信じる・疑う」の話を、「乗りすぎていないか」の話に変換することでした。
米国株をやめる理由にはならなかったし、今のところ売るつもりもありません。
正解かどうかはわかりません。
でも、地震が来ても倒れない家を建てるのと同じで、アメリカが多少揺れても、自分の生活と資産形成が折れない設計になっているか——それだけは確認しておきたかった。
少なくとも今の自分は、それを確認できただけで、多少は安心できた気がします。
もしこの記事を読んで「自分の米国比率、考えたことなかったな」と思ったなら、証券口座を開いて保有商品を眺めてみる。
それだけで十分な、最初の一歩になると思います。
※この記事は僕個人の資産配分についての考え方を書いたもので、特定の金融商品の購入や売却をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
もしよろしければ、少しだけ覗いていただけると嬉しいです。
