こんにちは、コウです。
スーパーでいつもとあまり変わらない買い物をしたはずなのに、レジの金額を見て「高っ」と感じることが増えていませんか。
一方で証券口座を開くと、評価額は先月より増えている。
オルカンも米国ETFも、円換算では過去最高に近づいている――そんな矛盾した感覚を抱えている人は、僕だけではないと思います。
この記事でわかること
- 円安が投資家にとって「追い風」になる仕組み
- 資産が増えても暮らしが楽にならないと感じる理由
- 相場に振り回されず家計を考えるための「3つの数字」の分け方
円安が投資家にとって「追い風」だった仕組み
まず、正直に認めておきます。円安は、外貨資産を持つ投資家にとって追い風でした。
オルカンは円建ての投資信託ですが、投資先の大半は海外株式です。米国ETFはドル建てで保有しています。
為替ヘッジをしていないため、株価そのものが動かなくても、円が安くなれば円換算の評価額は押し上げられます。
仕組みを簡単に確認すると、たとえば10万ドル分の資産を持っていて価格が変わらなかったとします。
1ドル140円なら円換算1,400万円、163円なら1,630万円。為替だけで230万円増える計算になります。
ただし「何もしなくても230万円豊かになった」とは言えません。海外旅行や輸入品、エネルギー価格など、使う側の円も同時に弱くなっているからです。
なぜ「資産が増えても暮らしは楽にならない」のか
2026年7月24日未明、ドル円はニューヨーク市場で一時163円99銭まで上昇し、39年ぶりの円安水準をつけました。
外貨資産を持つ投資家にとって、円安が評価額を押し上げる追い風になることはわかっています。それでも、このニュースを見て頭に浮かぶのは、スーパーのレジに表示された金額だったりします。
投資家としては歓迎したい円安が、生活者としては毎日の支出を重くしている。素直に喜びきれない自分がいるわけです。
数字でも裏付けが取れています。
2026年6月の輸入物価指数(円ベース)は前年同月比29.7%上昇(5月は26.1%)。国内企業物価指数も前年比7.1%上昇し、なかでも石油・石炭製品は22.8%まで伸びが拡大しました。
日銀が同月に行った調査でも、「暮らし向きにゆとりがなくなってきた」と答えた人は55.0%にのぼります。
もちろん、この上昇がそのまま同じ幅でスーパーの値札に反映されるわけではありません。それでも、家計に届く値上げの上流では、たしかに強い圧力がかかっていたのだと思います。
(このあたりの構造は、物価高なのに景気は絶好調?家計が苦しい理由|投資家パパの答えでも書いています)
「円の生活費」という考え方
ここで、自分の中でずっと言語化できていなかった感覚に、「円の生活費」と名前をつけてみます。
「円の生活費」とは、毎月の家計簿のことではありません。今後数年のうちに、相場の都合に関係なく円で支払うことが決まっているお金のことです。
我が家の場合、大学3年生の息子には今年7月、学費として約110万円を振り込みました。
来年度も同程度の金額が必要になる見込みです。高校1年生の娘は特待生として入学できたため初年度の学費は全額免除でしたが、部活の月謝やイベント費用は別にかかりますし、授業料も来年度からは発生する見込みです。
今年の負担が軽かったからといって、それがずっと続くわけではありません。
資産の多くが世界中に分散していても、家族は日本で暮らし、円で学費を払い、円で食料を買います。
資産運用は世界に分散していても、暮らしの請求書は円で届く。この一文が、僕にとってこの記事でいちばん言いたかったことです。
資産をひとつの数字で見ない。3つに分けて考える
163円という数字を見ながら、円換算の資産額だけを追いかけることに、どれほど意味があるんだろうと考えるようになりました。
資産額は投資の進み具合を確認するための大切な数字です。
ただ、それだけでは、円安によってどれくらい押し上げられたのかも、これから円でいくら必要になるのかも見えてきません。そこで僕は、ひとつの資産額ではなく、3つの数字を分けて考えるようにしています。
①円換算の資産額
証券口座やアプリに表示される、資産形成の進捗を見るための数字です。
②外貨資産の状況
米国ETFの保有株数やドル建て評価額など、株価と為替の影響を分けて考えるための数字です。
③数年以内に円で必要になるお金
学費や生活防衛資金など、相場が下がっていても支払う必要がある金額です。手元の円資金と照らし合わせ、どこまで外貨資産を売らずに払えるかを確認します。
以前、FIREの4%ルールが日本で通用しない3つの理由を書いたときも、資産額と「実際に使えるお金」は同じではないという話をしました。今回は為替という角度から、もう一段同じことを実感した形です。
FIREの4%ルールは日本の子育て世代に向かない?税金・社会保険料・教育費の3つのズレを、資産約5,000万・2児のパパ…
追記:協調介入で円高に戻った今、変わったこと・変わらないこと
この記事の元になったnoteを書いた時点(2026年7月25日)では、ドル円は163円台後半でした。ところがその直後、状況が動きます。
日米両政府は2026年7月31日(米国東部時間)、円買いの協調為替介入を実施しました。
片山さつき財務相が8月3日朝の財務大臣談話で公表し、ベッセント米財務長官もSNSで裏付けています。
円買いでの日米協調介入は1998年以来28年ぶり、協調介入そのものは2011年の東日本大震災直後以来15年ぶりという、異例の対応でした。
この結果、わずか3営業日でドル円は7円近く円高に振れ、8月3日には一時155円台まで戻しました。この記事を書いている8月4日時点では156円台中盤で推移しています。
財務相は「今後も更なる協調介入を実施することも躊躇しない」としており、しばらくは相場が神経質な展開になる可能性もあります(2026年8月4日時点の情報です)。
外貨資産を持つ身としては、円高は円換算評価額の目減りにつながります。一方で、上で見た輸入物価の圧力は多少和らぐ可能性があります。
円安のときに感じた「投資家には追い風、生活者には逆風」という綱引きが、今度は逆向きに働くかもしれない、ということです。
ここで大事なのは、為替がどちらに動いても、この記事で立てた3つの数字の考え方はそのまま使えるということです。
円換算の資産額に一喜一憂するより、③の「数年以内に円で必要になるお金」をきちんと把握しておく。この姿勢は、円安でも円高でも変える必要がありません。
実際に僕がどう向き合っているか
③の視点は、以前から使っている「お金の余白」という考え方ともつながっています。
投資に回していない現金や生活防衛資金は、投資効率だけで測ると「もったいない」ように見えます。
でも、それは値動きを見続けなくていい心の余白であり、家族の選択肢を守るための余白でもあります。
そのうえで、円高になった場合の見方も少し変わりました。円高で外貨資産の評価額が減ることは、家計全体の損とは限りません。
輸入品や海外旅行など、一部の負担が和らぐ可能性もあります。円高=怖い、円安=嬉しい、という単純な見方から、少し抜けられた気がしています。
積立の設定を変えるかどうかも、その都度悩むところですが、僕は「相場のニュースだけでは動かさない」と決めています。
動かす基準を③の円建て支出の見通しの変化に置く、というルールにしたことで、為替のヘッドラインに振り回されずに済んでいます。
よくある質問
Q. 円安(円高)はいつまで続きますか?
専門家の間でも見方は分かれています。
協調介入によって短期的には円高方向の圧力がかかっていますが、今後の展開を正確に予測することは誰にもできません。
相場の方向を当てにいくより、③の円建て支出を把握しておくほうが、家計としては再現性のある対策になります。
Q. 外貨資産の比率はどれくらいが目安ですか?
年齢やリスク許容度、家族構成によって適切な比率は変わるため、一律の正解はありません。
ただ、数年以内に円で確実に必要になるお金(学費や生活防衛資金など)は、為替や株価に左右されない円資産で確保しておくという考え方は、多くの家庭で参考にしやすいと思います。
Q. 生活防衛資金はいくら必要ですか?
一般的には生活費の3〜12ヶ月分が目安とされます。
教育費の支払いが重なる時期は、この目安より多めに円で確保しておくと、相場が荒れたときも慌てずに済みます。
Q. 円高になったら積立設定を見直すべきですか?
為替のニュースだけを理由に設定を変えるのではなく、「円で必要になるお金の見通しが変わったかどうか」を基準に判断すると、目先の変動に振り回されにくくなります。
まとめ:世界に投資しながら円で暮らすということ
円安によって、食費や光熱費、旅行など、円で支払う暮らしの負担は確実に重くなりました。
一方で、オルカンや米国ETFなどの外貨資産は、円換算の評価額が押し上げられていました。だから、円安は得だったとも損だったとも、簡単には言い切れません。
そして今、協調介入によって円高方向に振れたことで、この綱引きは逆向きに動こうとしています。
資産アプリに表示される金額だけでは、家族の暮らしの豊かさまでは測れない。今回あらためてそう感じました。
世界に投資しながら円で暮らす。この二つを別々に見るのではなく、家族の暮らしの中でつなげて考えることが、これからの資産形成には必要になりそうです。
より深い思考プロセスや、為替が動いた瞬間に何を考えていたかのリアルな記録は、noteに書いています。気になった方はあわせてどうぞ。
📚 この記事で参照したデータ
- 「企業物価指数(2026年6月速報)」日本銀行(2026年7月公表)/2026年8月4日参照
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2606.pdf - 「生活意識に関するアンケート調査(2026年6月調査)」日本銀行/2026年8月4日参照
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2607.htm - 「片山財務大臣談話」財務省(令和8年8月3日発表)/2026年8月4日参照
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20260803072806.html
※記事中の数字は執筆時点のものです。制度や条件は変わるため、最新は各出典先でご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記事中の数字・制度・商品条件は執筆時点のものです。最新の情報は各出典先および公式サイトでご確認ください。
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このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
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