「日経が6万円を超えた!」
4月23日、そのニュースを見て画面を二度見した方は少なくないと思います。史上初めて6万円台に乗った瞬間、リアルタイムで見ていた僕も少しだけ興奮しました。
でも翌日、東証プライム全体のデータを確認して「あ、そういうことか」となりました。
あの6万円突破の翌日(4/24)、東証プライム市場の約6割の銘柄が下落していたんです。
「6万円を超えた週なのに、なんか自分のポートフォリオはそれほど動いていないな」と感じた方がいたとすれば、それは感覚が正しい。指数と市場の実態が今週はっきりと乖離していました。
この記事でわかること
- 4/20〜4/24の相場で「何が上がり、何が置いていかれたか」の構造
- インテル+23%・NVIDIA5兆ドル回復が示すAI決算相場の本質
- FRB次期議長候補の発言が市場に与えた「静かな影響」
- 来週以降、個人投資家として見ておくべきポイント
今週の相場を一行で言うなら
「AI銘柄だけが輝いた、6割が下落した"偽りの全面高"」
数字だけ見れば歴史的な一週間でした。
でもその裏側には、資金が特定のセクターに極端に集中するという構造的な歪みがありました。
AI決算が相場を塗り替えた──インテル+23%の衝撃
今週の最大のドライバーは4月24日(金)のインテル決算です。
市場予想を大幅に上回る内容で、株価は1日で23.6%の急騰。
この一発で、週前半に地政学リスクと金利上昇で積み上がっていた懸念が一気に吹き飛びました。
NVIDIAも時価総額5兆ドルの大台を回復。
NASDAQとS&P500が終値ベースで史上最高値を更新したのは、ほぼこの2社に牽引された形です。
これが今のAI決算相場の構造で良い決算が出た瞬間に「AIの需要は本物」という確信が市場全体に広がり、それ以外のリスク要因(地政学・金利・インフレ)が一時的にバックグラウンドへ押しやられる。
ただ「押しやられた」だけで消えたわけではないんですよね。
この点は後述します。
日経6万円の実態──「指数が上がる日」と「相場が強い日」は違う
木曜朝の話をもう少し詳しく書きます。
4月23日午前9時6分、日経平均は60,013円を記録。取引時間中としては史上初の6万円台でした。
でも翌24日、指数が最高値を更新した同じ日に、東証プライム市場の約6割の銘柄が下落していました。
TOPIXの上昇幅はわずか0.21ポイントです。
この構図、先週(4/13〜4/17)の記事でも触れましたが
(→ナスダックが史上最高値なのに自分の口座は蚊帳の外?)、今週はより鮮明に出ました。
ナスダック史上最高値更新、日経60,000円迫る——なのに自分の口座は?2026年4/13〜4/17の相場をコウが解説。…
「日経平均」は225銘柄の値動きを株価で加重平均した指数です。
アドバンテストや東京エレクトロンのような「値がさのハイテク株」が大きく動けば、他の銘柄が横ばいでも指数は動く。
つまり「日経が上がった」=「日本株全体が上がった」ではないんです。
今週動いたのは半導体・AI関連・防衛関連株。一方で内需株・銀行株は金利の先行き不透明感やコスト上昇懸念で売られる展開でした。
僕が保有するINPEXや商船三井・日本郵船あたりは今週の指数の上昇の恩恵をほとんど受けていません。
ホルムズ海峡の情勢が直接的に影響するセクターなので、来週のイスラマバードでの交渉結果次第で大きく動く可能性があります。
週を通じた相場の流れ
簡単に日別の動きをまとめると
月曜(4/20):ホルムズ海峡の緊張再燃で3指数が揃って軟調スタート。ただ下落幅は限定的で、押し目を待つ資金が多い印象でした。
火曜(4/21):FRB次期議長候補ケビン・ウォルシュ氏の上院公聴会。「AI革命が将来の低金利を正当化し得る」という発言が予想外にポジティブに受け止められ、ハイテク株に買い戻し。
水曜(4/22):パキスタン・イスラマバードでの米イラン停戦協議への期待感から力強く反発。S&P500が+1.05%、NASDAQが+1.64%の急騰。
木曜(4/23):日経平均が取引時間中に初めて6万円台突破。ただ午後から利益確定売りに押されて引けは59,140円(前日比445円安)。
金曜(4/24):インテル+23.6%の決算を起爆剤にNASDAQとS&P500が史上最高値を更新。日経平均も575円高で最高値更新して週を終えた。
FRB次期議長のシグナル──「AI時代の低金利」論が投げかけた問い
今週、株式市場の動きに比べて地味に扱われていましたが、火曜日のウォルシュ氏の公聴会は中長期的に重要な発言が出ていたと思います。
ウォルシュ氏はこれまでタカ派(金融引き締め派)とされていましたが、「AI革命による生産性向上が、将来的な低金利を正当化し得る」という見方を示しました。
もし就任後にこの論理でFRBの政策が組み立てられると、「量的引き締め(QT)は続けながら、短期金利はAIの経済効果を見極めながら慎重に引き下げる」という独自のミックスになりえます。
高金利でも株が上がる今の構造が「正当化される」シナリオです。
ただ、「AIが本当に生産性を上げるか」の答えは2026年4月時点ではまだ出ていない。
これは期待の先取りです。5月以降の経済指標でこの論理が試される局面が来ると思っています。
地政学リスクと金利が積立投資に与える影響については、こちらの記事でまとめています。
→ 地政学リスクで相場が急落…積立投資はどうする?
イラン情勢で日経平均が急落。積立を止めるべき?投資歴8年・準富裕層目前の会社員投資家が荒れ相場を乗り切る具体的な考え方と…
スタグフレーションの初期兆候──小売売上高が見せた「二つの顔」
もうひとつ、指数の陰に隠れた重要な経済統計があります。
4月21日発表の3月米小売売上高は前月比+1.7%と市場予想(+1.4%)を上回りました。
一見、消費が旺盛に見えます。
ところがその中身を見ると、ガソリンスタンドでの売上が15.5%増。これはガソリン価格自体が単月で21.2%上昇したことを反映しています。
つまり「消費が活発」なのではなく「ガソリン代を払わざるを得なかった」が正確な読み方です。
エネルギーを除いたベースでは+0.6%にとどまります。
これはスタグフレーション(景気停滞+インフレ)の初期兆候として注意が必要な動きです。
今週の決算相場の熱狂でかき消された感がありますが、5月以降に実体経済として数字に出てくると相場の前提が変わる可能性がある。
「決算が良ければ何でも大丈夫」という楽観が続くかどうか少し慎重に見たいところです。
為替と金利のトレンド
今週の米10年国債利回りは4.26%(月曜)から4.31%(金曜)へと緩やかに上昇しました。
金利が上がりながら株も上がる。
通常なら矛盾するこの構図が成立しているのは、AI投資への期待が金利上昇の負のインパクトを上回っているからです。
ドル円は160円近辺での弱含みが継続。
日銀が政策修正を示唆しても実質的な日米金利差が縮まらず、円の上値が重い状況が続いています。
変動金利の住宅ローンを持つ方にとって直接影響する日銀会合は来週(4月28日)。利上げの有無より「植田総裁が何を語るか」のトーン次第で、ドル円が大きく動くシナリオを想定しておいた方がいいと思います。
来週、個人投資家が見ておくべきポイント
来週はイベントが集中します。
イスラマバード米イラン協議の行方(週明けから)
停戦交渉の進捗次第で、原油価格と中東関連・エネルギーセクターが週明けから大きく動く可能性があります。
「交渉継続」だけでも「悲観は回避」と市場は読むでしょう。
日銀金融政策決定会合(4/27〜28)
景気指標とインフレ指標が重なる週です。
今週の小売売上高データと合わせて、「AI楽観」vs「スタグフレーション現実」のどちらのシナリオが強まるかの分岐点になる可能性があります。
米GDPおよびPCEデフレーター
景気指標とインフレ指標が重なる週です。
今週の小売売上高データと合わせて、「AI楽観」vs「スタグフレーション現実」のどちらのシナリオが強まるかの分岐点になる可能性があります。
決算シーズン続き
インテル・NVIDIAで盛り上がったAI決算の流れが続きます。
予想を下回る決算が出たとき、市場がどう反応するかを見ておくと今後の相場の体力がわかります。
投資家として今週をどう捉えるか
6万円という歴史的な数字を目撃した週でしたが、指数が最高値を更新した日にその市場の6割が下落していた。
このことが示しているのは「今の相場は特定のテーマ(AI)への集中投資で成り立っている」という現実です。
オルカンやS&P500のインデックスファンドで積み立てている場合、AIインフラ銘柄の上昇は構成比率に応じて反映されています。
個別株はセクター選択次第で大きく結果が変わります。
今の相場で何が起きているかを知ることと、それに引っ張られて行動を変えることは別の話です。
知識は持ちながら、行動は計画通りに。これが今週の相場が改めて教えてくれたことかもしれません。
相場が大きく動くたびに判断がブレてしまう方は、こちらの記事もあわせて読んでもらえると少し整理できるかもしれません。
→ 【3月13%急落→4月1日歴史的反発】振れすぎた相場で積立投資家がすべきこと
3月の日経平均はリーマン以来の最大月間下落幅13.2%を記録。それでも積立を止めるべきか?投資歴7年の会社員が、荒れた相…
まとめ
4/20〜4/24の相場はAIへの期待と地政学リスクが正面衝突し、最終的に決算という「具体的な数字」が上回った一週間でした。
ポイントを整理すると
- インテル+23%・NVIDIA5兆ドル回復がNASDAQ・S&P500の史上最高値を牽引
- 日経平均が史上初の6万円台突破。ただし東証プライムの6割は同時期に下落
- FRB次期議長候補ウォルシュ氏の「AI低金利論」が中長期の政策方向に影響する可能性
- 小売売上高のガソリン効果はスタグフレーションの初期兆候として引き続き注視が必要
- 来週は日銀会合・FOMC・GDP・PCEと重要イベントが集中
「歴史的な数字を見た週」でしたが、それに乗れたかどうかよりも「次の局面で何が問われるか」を考えておく週だったと思っています。
※本記事は情報提供を目的としたものです。
特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
【付録】今週の記事に出てきた用語集
📌 スタグフレーション
景気が停滞(Stagnation)しているのにインフレが続く状態。
通常、景気が悪ければ物価は下がるが、エネルギー価格の急騰などにより例外的に発生する。金融政策で対処しにくいのが特徴。
📌 量的引き締め(QT:Quantitative Tightening)
FRBが保有する国債や住宅ローン担保証券を減らしていく政策。
量的緩和(QE)の逆。市場から資金を吸収する効果があり、金利上昇圧力につながる。
📌 PCEデフレーター
FRBが最も重視するインフレ指標。
CPIより対象範囲が広く変動が緩やか。来週発表の数字が利下げ判断の材料になる。
📌 NT倍率(日経平均÷TOPIX)
日経平均をTOPIXで割った値。
大きいほど「一部の値がさ株だけが指数を引き上げている」状態を示す。今週は特にこの乖離が大きく出た。
📌 コントロール・グループ(小売管理指標)
米小売売上高の内訳のひとつ。
自動車・ガソリン・建材などを除いた消費の実態を見るための指標。今週は+0.7%と底堅さを示した。
※前週(4/13〜4/17)の市況まとめはこちら
→ ナスダックが史上最高値なのに自分の口座は蚊帳の外?(4/13〜4/17)
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