「ナスダックが史上最高値を更新した週なのに、なんか自分のポートフォリオがあまり動いていないな…」
ポートフォリオを確認しながら、そう感じた方はいませんでしたか。
これ、投資の失敗でも何でもないんです。
今週(4/13〜4/17)の相場はまさに「指数は上がっても、全員が恩恵を受けたわけじゃない」典型的な一週間でした。
その「なぜ」を知っておくと、次に似た状況が来たときの焦り方がかなり変わります。
この記事でわかること
- ナスダック最高値・日経60,000円に迫った「急騰の実態」
- 自分のポートフォリオが指数の動きについていけなかった構造的な理由
- 「問題が解決した」と「株価が上がった」は別の話、という読み方
今週の相場をひとことで言うなら
「戦争リスクが一時的に棚上げされた週。でも棚の上のものは、まだそこにある」
週初月曜は、米・イランの停戦協議決裂のニュースで朝から少し気が重い雰囲気でした。
原油高・有事のドル買いで株は軟調スタート。
それが週末の金曜日には、イランの外相がSNS上でホルムズ海峡の完全開放を宣言。原油が約10%急落し、NYの3指数が揃って急騰。
ナスダックは史上最高値を更新し、日本でも日経平均が一時60,000円の大台に迫りました。
1週間でここまで空気が変わる。ジェットコースターにもほどがありますよね(笑)
数字だけ見ると「全面的な強気相場」に見えますが、実態はもう少し複雑です。
指数が急騰しても「自分の口座は動かない」のはなぜか
これが今週のいちばん大事な話かもしれません。
ナスダックの週間上昇率は約6.8%、半導体株指数のSOXは約7.5%という驚異的な数字でした。
ただ、この数字の大半を引っ張ったのはTSMC(台湾積体電路製造)とエヌビディアを中心とした半導体・AI関連の一部の銘柄です。
TSMCが第1四半期の粗利益率66%という圧倒的な決算を発表し、「AI需要は本物だ」という確信が市場に広がったことが大きかった。
一方でエネルギーセクターは、週末の原油急落でほぼ蚊帳の外。
「指数が上がった=全部の株が上がった」ではなく、「特定の銘柄が指数を引き上げた」という状態です。
日本株でも同じことが起きていました。
日経平均の週間上昇率は約2.7%だったのに対し、TOPIX(より広い日本株全体を映す指数)は約0.5%の上昇にとどまりました。アドバンテストや東京エレクトロンといった値がさのハイテク株が日経を引き上げていただけで、日本株全体が上がっていたわけではなかったんですよね。
先週の記事(「指数が戻ったのに自分の資産が戻らない」のはなぜ?)でも書いた話と本質的には同じで、日経平均という指数の「仕組み」を知っていると、この感覚の正体がわかります。
日経平均が急反発しても「なんか自分の口座は戻ってないな」と感じたことはありませんか?その正体と相場が乱れる週の正しい眺め…
「日経平均が上がった週なのに自分の口座がそれほど動いていない」という体感は、「ポートフォリオの構成と指数が違う」という当たり前の事実を体感しているだけです。
「問題が解決した」と「株価が上がった」は別の話
今週の急騰のきっかけは、イラン外相によるホルムズ海峡の開放宣言でした。
ただ、少し冷静に見てみると、宣言の直後にトランプ大統領は「イラン港湾への海軍封鎖は全力継続」と発言しています。
SNS上の「宣言」と「実際に海峡を物理的に通れるかどうか」は、まだ別の話です。
市場は「最悪のシナリオが回避された安堵感」を先取りして動きました。これ自体は悪いことではなく、市場が「期待」で動くのはいつも通りです。
ただ、「株が上がったから問題が解決した」と思うのは少し違う。
今週もう一つ気になったのは、インフレの状況です。
米国の3月CPI(消費者物価指数)が前年比3.3%と、2月の2.4%から大きく加速していました。ガソリン価格が前月比で21%超の上昇という数字が全体を押し上げています。
コアCPI(食品・エネルギーを除く)は2.6%と市場予想の範囲内だったので、「インフレ再加速の最悪シナリオ」は回避という判断になりました。
ただ、今後これが運輸や物流を経由してサービス価格に転嫁されていくかどうか、FRBの利下げ期待を揺るがす可能性は頭の片隅に置いておいた方がいいかもしれません。
地政学リスクが相場に与える影響の仕組みについてはこちらの記事でまとめているので、「そもそも原油や金利が株に何の関係があるの?」という方はあわせて読んでもらえると整理しやすいです。
→ 地政学リスクで相場が急落…積立投資はどうする?会社員投資家が実践する3つの対処法
イラン情勢で日経平均が急落。積立を止めるべき?投資歴8年・準富裕層目前の会社員投資家が荒れ相場を乗り切る具体的な考え方と…
為替と金利は今週どう動いたか
ドル円は週を通じて159円台前後で推移し、160円の大台が現実味を帯びてきています。
週初は有事のドル買いで円安が進み、週末には地政学リスクの緩和で少し円高方向へ。
ただ根本的な日米金利差は縮まっていないので、円安トレンドそのものは変わっていないと思います。
気になったのは「円安なのに日本株が素直に上がらない場面があった」こと。
本来なら円安→輸出企業の業績期待→株高のはずが、輸入コスト増がその恩恵を相殺していた感じ。僕が「悪い円安」と感じる局面がまた少し続きました。
日本の長期金利も話題になりました。10年国債利回りが一時2.49%に達し、1997年以来約29年ぶりの水準を記録しています。
銀行株には追い風ですが、不動産関連や成長株には重しになっています。日銀の4月会合(4月28日)が来週の最大の注目点のひとつになりそうです。
来週、個人投資家が見ておくべきポイント
来週はイベントが多く、相場の変数が重なる週です。
4月23日(木)に米1〜3月期のGDP速報値、24日(金)にFRBが最も重視するインフレ指標のPCEデフレーターが発表されます。
今週のCPIが3.3%まで上昇している中でどう出るか、利下げ期待の方向感を決める重要な指標です。
そして最大の山場は4月27〜28日(月火)の日銀金融政策決定会合とFOMCが同じ週に重なること。
日銀が利上げに動くか、FOMCが何を語るかによって、ドル円と日本株が大きく動くシナリオを想定しておいた方がいいと思います。変動金利の住宅ローンを持っている方は、特に日銀の動きをちらっと確認しておいてもいいかもしれません。
今週の相場から持ち帰ってほしいこと
「ヒヤッとしてから急騰して、でも金曜は1,000円超の急落」——これが今週の正直な体感です。
木曜日に日経が60,000円に迫っていたのを見たときは少しドキドキしましたが、翌日には1,000円超の急落で「はい、利確終了」という展開。
まあ、想定内といえば想定内なんですけど(笑)
感情的には「上がって嬉しい、下がってヤバい」の繰り返しなんですが、それに引っ張られて積立設定を変えたり、個別株を慌てて動かすと大抵ロクなことにならないです。
約8年やってきて思うのは、相場がざわつく週ほど「毎月の積立が淡々と実行されているかどうかを確認してあとはゆっくり寝る」くらいがちょうどいい。
「問題が棚の上に置かれただけ」という認識は持ちながら、でもそれに一喜一憂しすぎない。
長期の積立投資はそういう週を何十回も繰り返すものだと思っています。
相場が動くたびに判断がブレてしまうという方は、こちらの記事も参考にしてもらえると、少し気持ちが落ち着くかもしれません。
→ 投資で判断がブレる本当の原因と対策|パパ投資家が気づいたメンタル管理の3つの柱
「投資の判断がブレる」「暴落のたびに不安になる」——その原因は相場ではなく自分の状態かもしれません。資産5,000万円目…
焦りは本気の証拠。ただ、焦りのまま動くかどうかは、また別の話ですよね。
※本記事は情報提供を目的としたものです。特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
付録:今週の記事に出てきた用語集
📌 ホルムズ海峡
ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡で、世界の原油輸送量の約2割が通過する要衝。
今回はイランの外相がSNSで「完全開放」を宣言したことで原油急落・株急騰のきっかけとなったが、米海軍の封鎖方針は変更されていない。
📌 NT倍率(日経平均÷TOPIX)
日経平均をTOPIX(東証プライム全体)で割った数値。
数値が大きいほど「一部の値がさ株が指数を引き上げているだけで、市場全体はそれほど強くない」という状態を示す。今週はこの乖離が特に大きく出た。
📌 CPI(消費者物価指数)
Consumer Price Indexの略。
一般家庭が購入するモノやサービスの価格変動を示す指標でインフレの度合いを測るのに使われる。今週の米3月CPIは前年比3.3%と2月の2.4%から加速した。
📌 PCEデフレーター
FRBが最も重視するインフレ指標。
CPIとは対象範囲と計算方法が異なり、CPIより変動が緩やか。利下げ判断の鍵になるため、来週発表の数字が市場の注目を集めている。
📌 日銀金融政策決定会合
日本銀行が年8回開催する会議で政策金利の変更・維持を決める。
4月28日の会合では市場の一部で利上げ観測が出ており、変動金利の住宅ローンを持つ家庭にも影響が及ぶ可能性がある。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
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