NISAで含み損が出ても”売ってはいけない”理由

「去年からNISA始めたのに、もう含み損になってる。こんなはずじゃなかった」

最近、そういう声をよく聞くようになりました。

2024年の新NISA開始から、多くの人が「よし、自分もやってみよう」と一歩踏み出しました。
最初の1年はオルカンもS&P500も好調で、「思ったよりうまくいくじゃないか」と感じていた人も多かったと思います。

ところが2026年に入ってから相場が変わった。
米国の関税政策をめぐる不透明感や景気後退への懸念が広がって、株価が大きく下落する局面が続いています。

始めたタイミングが良かっただけに、その落差が大きく感じる。評価額がどんどん減っていく通知を見るたびに気持ちが沈む。
「やっぱり自分には向いていなかったのかも」「損が大きくなる前に売ってしまおうか」——そういう気持ち、すごくよくわかります。

でも、少しだけ待ってほしいです。

僕は2018年から投資を始めて今年で8年目になります。

コロナ暴落のあの2020年3月も金利急上昇で株価が沈んだ2022年も、そのたびに「大丈夫かな」という気持ちが頭をよぎりました。
それでも続けてきた結果として、スタート時の約297万円が今では約4,750万円になっています。

売らずに続けた判断が正しかったのか、今振り返っても「そうだったと思う」と言えます。

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ただ、「だから売るな」と一言で片付けたいわけじゃないです。
「なぜ売らない方がいいことが多いのか」「どんな場合は見直した方がいいのか」——その判断軸を、実際のデータと一緒に話させてください。

この記事でわかること

  • NISAで含み損が出やすいタイミングと理由
  • 売ってしまうとどんなデメリットがあるか
  • 積立を止めずに続けた場合に何が起きるか(僕の8年分のデータ付き)
  • 今の自分が「売るべきか」を判断するための目安

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NISAで含み損が出やすいのはなぜか

始めてすぐは含み損が出やすい構造になっている

NISAを始めてすぐに含み損が出たとしても、それは異常事態ではないんですよね。

理由は単純で、相場は常に上下しているから。
積立を始めたタイミングが「高いところ」だった場合、その後の調整で評価額が下がるのは自然な動きです。

2024〜2025年はオルカンやS&P500が好調な時期が続いていたので、そこから新NISAをスタートした人は歴史的に高い時期に買い始めたことになります。

その後に2026年の下落が来れば、含み損になるのは「相場が正常に機能している」証拠とも言えます。

NISAで損切りするとデメリットが二重にかかる

通常の課税口座なら、損失が出たときに他の利益と相殺する「損益通算」という仕組みが使えます。
しかしNISA口座で発生した損失は損益通算ができません。これは多くの人が見落としているポイントです。

たとえば同じ年に課税口座で50万円の利益、NISA口座で30万円の損失が出たとしても、通算はできず課税口座の50万円に丸々課税されてしまいます。

さらに、売却してNISA枠を消費してしまった分は翌年まで再利用できません(新NISAは売却した翌年に枠が復活しますが、消費した年は戻りません)。
損失を出しながら貴重な非課税枠も使うことになるというのが損切りの二重デメリットです。

2020年3月、評価額が大きく減って不安になった

僕は2018年からWealthNaviで積立をスタートしました。

最初の資産は約297万円。1年半ほど積み立てて2020年1月には381万円まで増えていた。「投資ってこんなにうまくいくのか」なんて思っていたんですよね。

そこにコロナ暴落が来て2020年3月、資産は330万円まで落ちました。
わずか2ヶ月で約50万円が消えた計算です。

ニュースは連日「リーマン以来の暴落」「先が見えない」という言葉で溢れていた。
会社でも投資の話なんてとてもできない雰囲気で、スマホでこっそりポートフォリオを確認しては気持ちが重くなるのを繰り返していたのを覚えています。

「もうやめようか」と思いかけたか?…正直、少し不安になりました。でも、積立投資はやめませんでした。

特別な理由があったというより「どうせ解約も手間だし、もうちょっと様子を見るか」という半分諦めに近い気持ちでした。
それが、結果的に一番いい判断でしたが。

あのときやめなかった結果を数字で見る

2020年3月に含み損で売らず、積立を続けた結果どうなったか。

2020年3月の資産:約330万円
同年12月の資産:約597万円
9ヶ月で約270万円増加

コロナ暴落の時点で「損切り」してやめていた人は、この回復と上昇を丸ごと逃したことになります。

そして積立を続けた結果の現在(2026年3月時点)がこうなっています。

時期 資産額(目安)
2018年9月(スタート) 約297万円
2020年3月(コロナ暴落) 約330万円
2020年12月(回復) 約597万円
2026年2月(直近ピーク) 約4,860万円
2026年3月(現在) 約4,750万円

投資信託だけで見ると、2018年の約103万円から2026年2月には約2,693万円まで増えています(約26倍)

これは、一度も売らずにただ積立を続けてきた数字です。
転職などで収入が増えたという個人的な事情もあるので、純粋な積立の成果だけとは言い切れません。それでも、「売らなかったこと」がひとつの判断として正しかったと今は思っています。

(※これは僕個人の結果です。将来同じ成果を約束するものではありません)

「含み損で始まった方が長期的には有利」という逆説

少し意外に思うかもしれませんが、積立投資において「始めてすぐ含み損になる相場」は長期的に必ずしも悪いことではないんですよね。

理由は積立の仕組みにあります。毎月同じ金額を買い続けるということは、
相場が下がっている時期は同じお金でより多くの口数が買えるということです。

安い時にたくさん仕込んだ分が、後から相場が戻ったときに大きなリターンになる。これがいわゆる「ドルコスト平均法」の効果です。

2020年のコロナ暴落のとき、僕は積立を継続していました。あの「最悪のタイミング」に自動で投資信託を買い続けたから、その後の回復で恩恵を受けられた。

含み損の時期に積立を止めてしまうと、この恩恵を受けられません。
それどころか「安い時に売って、高くなってから買い直す」という、積立の理屈と真逆の行動になってしまいます。

野村証券の試算によると、1995年から2024年まで積立投資を続けた場合、元本の3倍近くに膨らんでいたというデータがあります。

バブル崩壊・リーマンショック・コロナショックを経ても、長期では回復してきた歴史があります(ただしこれは過去のデータであり、将来を保証するものではありません)

「それでも不安」な人が確認すべき3つのこと

「続けた方がいいのはわかった。でもそれが今の自分に正しいかわからない」

その感覚は正直だと思います。

でも、僕がこうして発信するのは「とにかく売るな」と説教したいわけじゃなく、判断する前に一度立ち止まってほしいからです。

① 自分のリスク許容度を超えていないか

「含み損で眠れない」「毎日スマホを見るたびに気持ちが沈む」という状態なら、それは現在の投資額が自分のリスク許容度を超えているサインかもしれません。
精神的につらい状態で続けても判断が鈍ります。生活費や緊急予備資金を削って投資している場合は、まず家計を見直すことが優先です。

② 投資の「時間軸」を確認しているか

新NISAのつみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に向いた商品が対象です。
5年後に使う予定のお金を投資している場合と20年後の老後資金として積み立てている場合では、含み損に対するアプローチが変わります。
時間軸を確認してみてください。

③ 「なぜその商品を買ったか」を思い出せるか

買った理由が曖昧になっていたり、「みんなが言っていたから」「話題になっていたから」しか思い出せない場合は一度ポートフォリオを整理するタイミングかもしれません。
インデックスファンド(オルカンやS&P500など)を積立している場合は、商品の性質上は長期保有に向いているので基本的に売る理由は少ないと思っています。

売りたくなる感情は「正しい感情」

「含み損でも売るな」と言いたいわけじゃないです。ここは誤解してほしくない。

精神的につらくなっているなら、ポジションを整理するのが正解のケースもあります。
「今の相場が怖い」と感じるなら、自分の投資スタイルを見直すサインでもある。

ただ、「含み損になったから損切り」「相場が下がっているから売る」というのは長期投資の文脈では逆効果になりやすい。
インデックス投資はそういう瞬間的な感情の揺れを乗り越えるための仕組みとして設計されているから。

売りたくなるのは、ごく自然な感情です。
でもその感情を「正しい行動」に変換する前に、少しだけ「この投資の時間軸はどこだっけ?」と問いかけてみてほしいんです。

僕も今年(2026年)に入ってから資産が少し減っています。
2月の過去最高(約4,860万円)から3月時点では約4,750万円。1ヶ月で100万円以上減りました。「あー、減ったな」とは思いますよ、正直。スマホで数字を見るたびにちょっと気持ちが重くなる瞬間はある。
でも積立方針は変えていない。淡々と続けています。

2018年から今まで「やめなくてよかった」と思った瞬間がたくさんあったから。コロナ暴落のあの3月を乗り越えた記憶があるから。

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まとめ

NISAで含み損が出ても、すぐに売ることが答えとは限らない理由をまとめると

  • 始めてすぐの含み損は相場の正常な動きであることが多い
  • NISAで損切りすると損益通算ができず、非課税枠も失う二重のデメリットがある
  • ドルコスト平均法の仕組み上、下落局面で積立を止めると逆効果になりやすい
  • 長期投資では過去に何度も暴落を経験しながらも回復してきた歴史がある
  • ただし、リスク許容度を超えた投資は見直しが必要

何が正解かは人それぞれで、僕の経験が全員に当てはまるわけでもありません。
ただ、「感情のまま動く前に立ち止まること」は、どんな判断においても有効だと思っています。


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「相場が下がるたびに積立を続けられるか不安」という気持ちと向き合いながら書いた記事をnoteで公開しています。
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