毎朝スマホを開くたびに、新しい不安材料が増えていませんか。
イラン情勢の緊迫、原油95ドル突破、S&P500は年初来安値を更新——。
さらに米国の関税政策の混乱が追い打ちをかけて、投資家にとっては気の休まらない日が続いています。
「積立設定をいじったほうがいいのかな」「一回利確して逃げるべき?」
そう思っている方、多いのではないでしょうか。
この記事では、投資歴8年・資産5,000万円を積み上げてきた会社員投資家の僕が、
2026年3月の今、世界で何が起きているのかを整理したうえで、長期投資家がやるべきこと・やってはいけないことを解説します。
この記事でわかること
- 2026年3月の「三重苦」(関税・イラン・高バリュエーション)の構造
- 過去の暴落局面(2018年・2020年・2022年)との比較
- 「何もしない」が最強になる理由と、その具体的な根拠
今、世界で何が起きているのか——3つのリスクを整理する
まず「何が起きているか」がわかれば、不安はかなり和らぎます。
一つずつ見ていきましょう。
① 関税リスク——15%グローバル関税と150日のタイムライン
2月20日、米国の最高裁がトランプ大統領のIEEPA関税(最大50%)を違憲と判断しました。
しかし大統領はすぐにSection 122(1974年通商法)という別の法律を使い、2月24日に15%のグローバル関税を発動。
最高裁の判断を事実上すり抜ける形になりました。
ポイントは、このSection 122の関税が150日間の時限措置であること。
つまり2026年7月下旬が期限です。それまでに各国と新たな通商交渉がまとまるか、議会の承認を得る必要があります。
裏を返すと、少なくともこの5ヶ月間は「関税がどうなるかわからない」という不確実性が市場に残り続けるということです。
企業は設備投資の判断を先送りし、マーケットはヘッドラインのたびに振り回される展開が続きます。
Yale Budget Labの推計では、米国の平均関税率は約13.7%。
1930年代以来の高水準で、関税コストの大部分は米国の企業と消費者が負担しているとの分析もあります。
② 地政学リスク——イラン情勢と原油95ドルの衝撃
3月9日にイランの新最高指導者が就任し、ホルムズ海峡の封鎖を示唆しました。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約20%が通過する要所です。
実際にペルシャ湾では複数のタンカーが攻撃を受け、WTI原油は95ドル台まで急騰しました。
IEA(国際エネルギー機関)は史上最大となる4億バレルの戦略備蓄放出を決定しましたが、それでも原油価格は高止まりしています。
原油高が怖いのは、インフレに直結するからです。
ガソリン代、物流コスト、食品価格——すべてに波及する。
長期投資家にとって最悪のシナリオは「インフレが再加速して、FRBが利下げに踏み切れなくなる」ことです。
③ 高バリュエーション——CAPEレシオがドットコムバブル以来の水準
S&P500のCAPEレシオ(シラーPER)は直近で約38〜40前後です。
これは2000年のドットコムバブル期に次ぐ高水準。歴史的な中央値が約16なので、2倍以上に膨らんでいることになります。
ロバート・シラー教授が130年分のデータから示したのは、CAPEが高い水準から投資した場合、その後10〜20年の平均リターンは低くなる傾向があるということ。
ただし注意点もあります。
S&P500の構成銘柄が大きく変わり、利益成長率の高いテック企業の比重が増したことで、過去の中央値とそのまま比較するのは適切でないという指摘もある。
CAPEが高いから即「売り」ではないものの、「今は歴史的に見て割安ではない」という認識は持っておくべきでしょう。
この3つが同時に起きている——それが2026年3月の特殊性
個別に見れば、関税も地政学も高バリュエーションも過去に経験があります。
しかし3つが同時進行しているのが今回の特殊なところ。
関税がコストを押し上げ、原油高がインフレを加速させ、インフレが金利を高止まりさせて、もともと割高だった株式市場をさらに圧迫する——互いを悪化させる「三重苦」の構造です。
過去の暴落と比べて、今はどのくらい「ヤバい」のか
不安なときほど、過去に何が起きたかを振り返ることが大切です。
2018年末 米中貿易戦争ショック
S&P500は2018年9月の高値から12月の底値まで約20%下落しました。
FRBの利上げと米中関税の二重パンチで、「世界経済がリセッション入りする」と言われていた時期です。
しかし翌2019年のS&P500は約31%上昇。下落分を1年で取り返して、お釣りが来ました。
2020年3月 コロナショック
わずか5週間でS&P500は約34%下落。
サーキットブレーカーが複数回発動する異例の事態でした。
しかし底値から約6ヶ月で全値戻し。2020年11月には下落前の高値を回復し、そこからさらに大きく上昇していきました。
2022年 インフレショック
年初から10月の底値まで約25%下落。
FRBの急激な利上げで、特にNASDAQ100は30%以上落ち込みました。
翌2023年のS&P500は約26%上昇、2024年はさらに約25%上昇と、2年連続の大幅プラスで下落分を完全に回復しています。
そして2026年3月——現時点は「まだ序盤」
現時点でS&P500の年初来下落率は約5〜6%。
実は、一般的に「調整」と呼ばれる10%下落にすらまだ到達していません。
戦後の弱気相場(20%以上の下落)の平均データを見ると、ピークから底値までの平均下落率は約35.8%、下落期間は約1年半。
そしてその後の回復には約2年2ヶ月かかるのが「平均値」です。
重要なのは、すべての弱気相場は最終的に回復し、その後新高値をつけていること。
過去150年間、例外はありません。
長期投資家が「やるべきこと」3つ
では、この局面で長期投資家は何をすればいいのか。
結論はシンプルです。
1. 積立設定はそのまま維持する
NISA口座の積立を少し見直したくなっていませんか?
でも、2020年のコロナショックの底値付近で積み立てた分は、今でもかなりの含み益になっています。
あのとき「怖いから止めよう」としていたら、この利益はなかった。
ドルコスト平均法は、相場が下がっているときに多くの口数を買えることが最大のメリットです。
下落局面こそ、積立が本領を発揮するタイミングです。
2. 情報を遮断するのではなく「取りに行くタイミング」をコントロールする
これは地味ですが効果が大きい方法です。
証券アプリの通知をオンにしていると、朝から晩まで含み損の数字が目に入ってしまう。
仕事中にも気になるし、寝る前にもう一度見て不安になる——という悪循環に陥りがちです。
おすすめは、証券アプリの数字を確認するのは週末に1回だけにすること。
平日は市況ニュースを軽くチェックする程度にとどめて、「自分から情報を取りに行くタイミング」をコントロールします。
3. 「何が起きているか」を理解しておく
先ほど整理した「三重苦」の構造を知っているかどうかで、メンタルの安定度は大きく変わります。
株価が下がった理由がわからないと、「もっと下がるかも」「終わりの始まりかも」と不安が際限なく膨らみます。
でも「関税の150日ルールのせいだな」「イランの情勢が影響してるな」とわかっていれば、漠然とした恐怖が「構造的な理解」に変わります。
理解していれば、ニュースが出ても「ああ、あれの続きか」と受け止められる。
わかっているだけで、握力は全然違います。
長期投資家が「やってはいけないこと」3つ
逆に、この局面で避けるべき行動もはっきりしています。
1. 含み損に耐えられず積立を止める
過去のすべての下落局面で、資産が回復したのは「何かをしたから」ではなく「何もしなかったから」です。
積立を止めるということは、将来の安値での買いチャンスを自ら放棄することを意味します。
2. 一括で損切りする
「今売って、底で買い直そう」と考える人がいますが、底値を正確に当てられる人はプロにもいません。
実際、2018年末に売った投資家の多くは、翌月から始まった急回復に乗れなかったと言われています。
3. レバレッジをかけて「底値買い」を狙う
下がっているときに信用取引やレバレッジETFで「底値を拾おう」とするのは非常に危険です。
底値だと思ったところからさらに下がるリスクがあり、レバレッジがかかっていると損失が膨れ上がります。
僕自身、2018年にFXでレバレッジをかけて痛い目を見た経験があります。
短期で取り返そうとする焦りが一番危ない。
会社員投資家の「最大の武器」を忘れないで
最後に伝えたいのは、会社員には会社員だけの圧倒的なアドバンテージがあるということです。
毎月の給料が入ってくる。本業がある。
積立設定は自動で走っている。
これは専業トレーダーにはない強みです。
相場が荒れていても、生活は守られている。だから「何もしない」という選択を取れる。
投資を始めてから何度も暴落を経験してきましたが、結局メンタルが9割だと感じています。
そしてそのメンタルを支えてくれるのは、チャート分析でもインジケーターでもなく、日常の暮らしだったりする。家族と過ごしているとき、含み損の数字なんて一瞬忘れます。
退屈なくらいが、投資はちょうどいいんですよね。
📝 この記事の内容をさらに深く知りたい方へ
noteでは「世界がざわついている今、僕がやっていること」と題した有料記事を公開しています。
この記事では書ききれなかった僕自身のポートフォリオ判断(NISAコア・サテライトの具体的な調整)、過去4回の下落局面の詳細比較データ、会社員投資家のメンタル管理術を書いています。
→ noteで読む
まとめ
2026年3月は「関税 × イラン情勢 × 高バリュエーション」の三重苦が同時進行する、過去の単発ショックとは異なる局面です。
ただし現時点の下落幅(約5〜6%)は過去の暴落と比較するとまだ序盤。
そして過去150年間、すべての弱気相場は回復し、その後新高値をつけてきました。
長期投資家がこの局面でやるべきことは、積立を維持し、情報との距離をコントロールし、何が起きているかを理解しておくこと。
やってはいけないのは、焦って止める・売る・レバレッジをかけることです。
正解は数年後にしかわかりません。
でも、ここまで投資を積み重ねた経験が教えてくれるのは、「淡々と続けた人が結局いちばん強い」ということです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
もしよろしければ、少しだけ覗いていただけると嬉しいです。
