子どもが寝静まった後、スマホのタイムラインをぼんやり眺めていると、こんな投稿が目に入ってくることがある。
「今月も積立完了、含み益が過去最高!」
「年間配当ついに100万円超えました」
それを見ているうちに、なんとなく焦ってくるんですよね。「みんなもう投資しているのに、自分のペースで大丈夫なのかな」って。
でも、ちょっと待ってほしいんです。
この記事でわかること
- 新NISAの「実際の普及率」——SNSと現実のギャップ
- NISA口座を開いた人が「最初に気づいたこと」のリアルな内訳
- 積立額を減らしたり、迷ったりしても、投資家として続けていける理由
- 他人の資産額や入金力と比べず、自分のペースを守るための考え方
「みんな投資してる」はSNSが作り出した錯覚かもしれない
金融庁が2026年2月に公表したデータによれば、2025年12月末時点のNISA口座数は約2,826万口座。
18歳以上の日本人口と比較すると、
およそ4人に1人が口座を持っている計算になります。
4人に1人というのは、たしかに増えた数字です。累計の買付額が71兆円というのも、改めて聞くとすごい規模だとは思う。
でも裏を返せば、
4人に3人はまだ口座すら持っていない。
SNSのタイムラインには「積立完了しました」「含み益が更新しました」という声が大きく流れてくるけれど、実際の街を歩けば、NISAという言葉を聞いたことはあるけど何から始めればいいか全然わからない、という人のほうが今でも多数派なんです。
これを数字で見てから、なんだか少し気が楽になった感覚があります。
投資をしていない人が「遅れている」わけじゃない。投資に興味はあるけど余裕が出るのを待っている人がいて、過去に痛い思いをして立ち止まっている人がいて、仕事や子育てや介護で手が回らない人がいる。
そういう人たちが大勢いて、その中の4人に1人が口座を開いた——まだ途中の景色なんですよね。
NISAを始めた人たちは何に気づいていたのか
日本証券業協会の調査をもとに、NISA口座を開設した人たちの意識変化をのぞいてみると、興味深いことがわかります。
一番多かったのは「少額から始められると知った」という気づき。約3人に1人以上がここにあてはまります。
かつての投資って、まとまったお金がないとできないイメージがありましたよね。「まずは100万円貯めてから」とか。
でも実際は月1,000円からでも積み立てられると知って、「自分にもできるかも」と思えた人がそれだけいたということ。
次いで多かったのは「長期・分散投資という考え方が身近になった」という人たち。
オルカン、インデックス、複利——難しそうな言葉が少しずつ自分の暮らしの言葉に変わっていった、そういう感覚を持ち始めた人たちです。
そして「思ったより怖くないかも」「貯金だけでは足りないかもしれない」という気づきも、それぞれ2割以上いた。
これを読んで思ったのは——NISAをきっかけに増えたのは"投資で大きく稼ぐ人"じゃなくて、
漠然とした不安を抱えながらも一歩を踏み出した普通の人たちだったんだ、ということでした。
僕も最初はそっちの側でした。
「長期で持てば大丈夫」と頭ではわかっていても、アプリを開いて赤い数字を見ると、なんとなく疲れた気持ちになる夜が何度かあった。
投資って合理的な行動に見えて、実際には感情の揺れとかなりつき合う行為だと思います。
最初から安心しきって始められる人なんて、そんなに多くないはずで。
積立は「毎月同じ金額を守ること」じゃない
子育て中にお金と向き合うと、避けて通れない問いが出てきます。
「今月の積立額、このままで大丈夫か」
スーパーのレシートを見て、また食費が上がってると気づく月がある。
子どもが「塾行きたい」と言い出した月には、少し気持ちが重くなる。
住宅ローンと積立の優先順位って、答えが出ないまま半年以上経つこともある。
そういうリアルの中で、積立額を3万円から1万円に減らした月があっても、それは「失敗」じゃないと思うんです。
生活を見ながら「やめない」という選択をした——それが一番大事なことだから。
相場の変動に合わせて一喜一憂するよりも、「積立額を減らしてでも続ける」という判断は、むしろ長期投資家として正しい行動に近い。
月5万円積んでいた人が3万円に絞った月も、積立は前に進んでいます。止まらなかっただけで、十分えらいと僕は思っています。
SNSには映らない投資家の姿こそリアル
タイムラインに流れてくるのは、どうしても声が大きい人の投稿です。
月50万円積立、年間配当100万円、含み益1,000万円超——それ自体は否定するものではないし、そこに至るまでの積み重ねがあるはず。
ただ、現実の風景はもう少し多様なはずです。
誰にも言わずに月1万円を黙々と続けている人がいる。
ボーナス月だけ少し買い増す人がいる。
暴落が来て一度止めたけれど、また再開した人がいる。
高配当株に憧れつつも、まだオルカン1本しか持っていない人がいる。
積立額を毎月、子どもの習い事費用と相談しながら決めている人がいる。
そういう人たちこそ、今この時代の個人投資家のリアルな姿だと思っています。
もし「月1万円しか積めていないけど、意味があるのかな」と感じている人がいるなら、一つだけ伝えたいことがあります。
月1万円を12ヶ月続ければ12万円の元本になり、10年続ければ120万円に複利が乗ってくる。
「少ない」んじゃなくて、確実に積み上がっているんです。
僕が2018年に少額投資サービス(One Tap Buy)でスタートしたときも、最初の積立額はいまの感覚からするとずいぶん少なかった。
それでも8年続けた結果、資産は5,000万円を超えました。最初の1万円がちゃんと未来に繋がっていたということです。
大事なのは村で一番速く走ることじゃない
投資で大切なのは、誰よりも速く積み立てることでも、誰よりも資産額を大きくすることでもないと思っています。
自分の家族の生活、自分の収入、自分の不安、その全部と向き合いながら、自分の歩幅で続けること。
他人の入金力を見て焦らなくていい。誰かの資産額を見て落ち込まなくていい。
相場が下がれば不安になるし、誰かの報告を見て少し焦ることもある。
家計が苦しい月に積立額を見直すことだってある。
それで普通だと思います。
迷わない人だけが投資家なのではなく、迷いながらも自分の暮らしに合わせて続けている人もちゃんと投資家です。
まとめ〜あなたが今いる場所が正しいスタート地点
この記事で伝えたかったことをまとめると、こうなります。
- 日本でNISA口座を持っているのは約4人に1人。「みんな投資している」はSNSの錯覚
- 最初にNISAを始めた人たちの多くは、高揚感ではなく漠然とした不安を抱えながら踏み出した
- 積立額を減らしても、一度止めてもまた再開すれば、それは立派な長期投資家の行動
- 他人の数字と比べるより、自分の生活に合った歩幅を見つけることが長続きの鍵
子育ての中でお金と向き合っていると、思うようにいかないことがたくさんあります。
でも、「やめなかった」という選択の積み重ねが、数年後に意味を持ってくる。
少なくとも僕には、そういう8年間でした。
出典:金融庁「NISA口座の利用状況(2025年12月末速報値)」、日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書(2025年9月)」、日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査(2025年5月)」
この記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
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このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
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