子育て中のパパやママで投資信託や個別株を積み立てている人は、あの木曜日の夜をどう過ごしましたか?
NYダウが5万ドルを超えた、S&P500が史上初の7,500ポイントを突破した——そんなニュースを見て、ちょっとニヤけてしまった人も多いんじゃないかと思います。僕もそのひとりでした。
でも翌朝、スマホを開いたら景色がまるで変わっていた。
日経平均が一時60,937円まで急落。
前日から1,700円以上のマイナスです。コーヒーを飲みながら「今日は調子いいぞ」と思っていたはずが、帰宅後の麦茶を飲む頃にはかなり削られていた——これが正直なところです(笑)
この記事では、2026年5月11日(月)〜5月15日(金)の1週間の相場の動きを、パパ・ママ投資家の目線でわかりやすく振り返ります。
何が起きて、なぜ動いて、自分の積立にとって何を意味するのか。それだけを整理しました。
この記事でわかること
- 5月11日〜15日のNY市場・日本市場でそれぞれ何が起きたか
- 「史上最高値の翌日に急落」が起きたメカニズム(インフレ・金利・アンカリング効果)
- 「ニュースで上がり、データで下がる」という相場の性質
- 急落時でも積立を続けていい根拠と、長期投資家が持っておくべき視点
今週の相場を一言で言うなら
「期待の掛け算で上がって、現実の引き算で戻された5日間」でした。
先週(5/4〜5/8)は良いニュースが同時に重なって、相場が勢いよく跳ね上がった週でした。
今週はその反動と「答え合わせ」が来た週です。
最高値と急落、両方が同じ週に凝縮されていたのが今週の特徴。「上がることへの高揚」と「下がることへのざわつき」を5日間で一気に体験した感じです。
NYダウ5万ドル突破、その翌日に何が起きたか
週の前半から中盤にかけて、相場は静かに高値を追い続けました。
米中首脳会談への楽観的な期待、エヌビディアの中国向けGPU販売が再び認められるという報道、ベッセント米国財務長官の訪日による「日米連携」のムード。
どれもリスクオン——つまり「もっと積極的に買っていこう」という方向に市場を向けるニュースでした。
そして5月14日(木)、歴史的な1日が来ます。
シスコシステムズの好決算がきっかけで、NYダウが50,063ドルで約3か月ぶりに5万ドル台を回復。S&P500も史上初めて7,501ポイントに到達しました。
大型株がそろって上昇した、久しぶりに清々しい夜でした。
ところが翌5月15日(金)、空気が一転します。
4月のCPI(消費者物価指数)が前年比3.8%の上昇と前月の3.3%から明確に加速。さらにPPI(生産者物価指数)も市場予想を上回る水準でした。
インフレがまだ落ち着いていない——この事実を市場は一気に織り込みに行って、米10年債利回りが4.6%近くまで跳ね上がりました。
結果、NYダウは-537ポイント、ナスダックは-410ポイント。前日に歴史的な高値をつけた翌日の急落でした。
日経63,799円の「あの瞬間」と金曜の1,700円安
日本市場も今週は乱高下でした。
週の前半は、ベッセント財務長官の訪日効果もあって堅調な展開が続きます。
5月12日(火)には終値ベースで63,272円まで上昇し、終値の史上最高値を更新しました。
そして5月14日(木)のザラ場(取引中)では、63,799円という史上最高値を記録。
「これは6万4千円いくか?」と思った方も多かったんじゃないでしょうか。実は僕もそのひとりでした(笑)
でも翌金曜日、海外の金利急上昇を受けて日経平均は一時60,937円まで急落します。終値は61,409円(前日比-1,244円、-1.99%)。
わずか1日で2,800円以上の値幅が動いたことになります。
ただ、ひとつ興味深いことがあります。
TOPIXの下落幅は-0.39%。日経平均の-1.99%とはかなり乖離しています。
東証プライム全体でも値上がり銘柄は857社に対し、値下がり銘柄は674社でした。つまり「全面安」ではなく、ソフトバンクGやアドバンテストのような値がさ株(株価の高い大型ハイテク株)に売りが集中したという構造的な話なんですよね。
インデックス投資、特に日経平均連動型を持っている人ほど、この「値がさ株集中売り」の影響をダイレクトに受けました。
「急落で怖くなった」という感覚の正体
金曜日の下落を見て「ヤバい」と感じた方に、少し立ち止まって考えてほしいことがあります。
木曜日にS&P500が7,501ポイントを記録しました。でも金曜日の引け値は7,408ポイントです。
週の頭(月曜)から見た週間の変動でいうと、そこまで大きな数字ではありませんでした。
なぜ「暴落」に感じたかというと、木曜日の「史上最高値」が頭の中の基準点(アンカー)になっていたからです。
行動経済学の世界では「アンカリング効果」と呼ばれる現象です。
直近の印象的な数字が基準になると、その後の数字の見え方が変わってしまう。7,501の翌日に7,408を見ると「大暴落だ」と感じる。でも週の頭から見れば「普通の調整」だったりする。
心配になること自体は正常な反応だと思います。
ただ、そのざわつきを「行動の理由」にしてしまう前に、一度タイムスパンを広げて数字を見てみてください。
日次で見ると怖い下落が、週次で見ると「調整の範囲」になることはよくあります。
今週の相場を動かした3つの要因
① インフレ再燃——FRBの利下げ期待が吹き飛んだ
今週の相場で一番大きな出来事は、ニュースではなくデータでした。
4月のCPIが前年比3.8%上昇(前月比+0.5ポイント)。4月の雇用統計でも非農業部門の新規雇用が11.5万人増と、市場予想(6.5万人増)を大幅に超過しました。
「インフレが加速している+雇用も堅調」という組み合わせは、FRB(米連邦準備制度理事会)にとって利下げを急ぐ理由がゼロになる状況です。
先週まで「今年後半には利下げがあるかも」と期待していた市場が、たった数日で「むしろ利下げはないかも」に変わった。期待の変化は速い。インフレのデータは変わらない。
そのギャップが相場を動かしました。
② 原油が91ドルから105ドルへ急騰
先週(5/4〜5/8)は、中東情勢の緩和期待から原油が一時90ドル台まで落ちていました。でも今週、その「期待」が完全に剥がれました。
米イラン交渉が決裂に近い状況となり、ホルムズ海峡の通航が事実上の制約状態のまま。WTI原油は105ドル、ブレント原油は109ドルまで急騰して週を終えました。
週間上昇率は8%超です。
「期待で売られた原油が、現実で買い戻された」ともいえます。
海運株を持っている身としては、相変わらず複雑な1週間でした。
ホルムズ海峡が封鎖状態に近いということは迂回航路の需要が高まるので海運には追い風ですが、原油高は世界経済のダメージになって荷動きが減るリスクもある。
上がる理由と下がる理由が同居したまま、何週間も続いています(笑)
③ 米中首脳会談——「休戦合意」と「対立解消」は別の話
5月14日にトランプ大統領と習近平主席が会談し、11月までの休戦維持や新たな貿易枠組みが合意されました。
市場は一時的にリスクオンで反応し、ダウ5万ドル突破のトリガーのひとつにもなりました。
ただ、「休戦を合意した」と「対立が解消した」は全然違う話で、現行の対中追加関税は7月24日に期限が来ます。
それまでに具体的な着地が見えなければ、また揺れる局面が来るかもしれません。
今週ひとつ感じたのは、「ニュースの寿命は短くて、データの寿命は長い」ということです。
首脳会談の好ニュースで上がって、インフレのデータで下がった——まさにそれを地で行く展開でした。
為替と金利——「政治の力」が「経済の力」に負けた週
今週の為替で注目だったのは、ベッセント米財務長官の訪日でした。
日米間で「為替介入への理解」が共有されたことが明らかになり、週前半は円安に歯止めがかかっていました。
「投機的な円売りは入れにくい」という空気感があったんですよね。
ところが金曜日、米10年債利回りが11か月ぶりとなる4.6%近くまで跳ね上がると、日米金利差という経済の力が「政治的な介入警戒」を上回って、ドル円は一時158.74円まで買い戻されました。
また、日本の10年国債利回りも今週、1997年以来の最高水準を更新しました。2.5%台から2.7%超まで上昇し、30年国債は一時4%を超えています。
住宅ローンが変動金利の方にとっては、じわじわと気になる動きになってきています。
不動産セクターが金利急騰を嫌気して1日で5.3%下落したのも、この金利上昇が波及している証拠です。
来週(5/19週)に注目したいこと
- GDP速報(5/19)
2026年1〜3月期のGDP速報が発表予定です。
前期比年率+2.9%程度が予想されています。金利が急上昇する中で「実体経済は大丈夫か」を測る一つの指標になります。 - 日本国債利回りの行方
10年国債が2.7%超、30年債が4%に乗った今週。
さらに上昇するなら、住宅ローン金利や不動産への影響がより現実的になってきます。 - 原油の動き
先週91ドル→今週105ドル。
110ドルを超えてくると「原油高→インフレ→金利高→株安」という連鎖が意識されやすくなります。
まとめ
今週の急落で「やばい」と感じたという人は多いと思います。正直に言うと、僕もやや動揺しました。
でも、結局はいつも通りと落ち着いて見ています。
「鋼のメンタル」で乗り越えたわけじゃなくて、「仕組みがあるから感情が動かない」というのが正確なところです。
毎月自動で積み立てる設定をしている。
相場が上がっていても下がっていても、同じ日に同じ金額が入る。だから、相場の動きにいちいち反応しなくて済む状態になっている。
長期の積立投資において一番怖いのは、暴落そのものじゃないと思っています。
「暴落だと思い込んで、行動を変えてしまうこと」の方がリスクが大きい。
金曜日の数字が怖く見えたなら、ぜひ一度、週次・月次のスパンで数字を見直してみてください。
景色が変わることが多いはずです。
- 5月11〜15日の相場は、木曜に「ダウ5万ドル・日経63,799円」の史上最高値を記録した翌日に急落という、両極端の週でした
- 相場を動かしたのは、CPI・PPIというインフレデータと金利の急上昇です
- 「ニュース(米中首脳会談)で上がって、データ(インフレ)で下がる」という構造が今週の本質でした
- 急落が怖く見えたのはアンカリング効果(木曜の最高値が基準になっていた)の可能性があります。週次・月次のタイムスパンで見直してみるのがおすすめです
- 長期積立投資において、「感情で動かない仕組みを作っておくこと」が最大の武器になります
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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このブログのタイトル「かぞくとあおぞら」に込めた想いや、投資で遠回りをしてきた僕の自己紹介を[こちら]にまとめています。
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